麻酔科
基本診療方針
1 安全で確実な麻酔を提供します。
2 術前診察から術後疼痛管理まで一貫した周術期管理を行います。
3 痛みを和らげ,QOLの向上を目指します。
1〜3を円滑に施行するために,2018年度より「周術期統括部」が新設されました。「麻酔科」「手術センター」「疼痛管理科」「集中治療科」を新たに周術期統括部としてまとめることで,周術期を一元的に管理し,周術期全般にわたる円滑な管理体制が強化されました。これは日本ではまだ例を見ない画期的な改革です。
医師紹介
麻酔科部長 (疼痛管理科部長兼職) |
かくやま まさひろ 角山 正博 |
麻酔・周術期管理 |
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日本専門医機構認定麻酔科専門医 日本麻酔科学会認定指導医 日本ペインクリニック学会専門医 | ||
麻酔科担当部長 | しらかみ ごうたろう 白神 豪太郎 |
麻酔・周術期管理 |
日本専門医機構認定麻酔科専門医 日本麻酔科学会認定指導医 日本集中治療医学会専門医 | ||
副部長 | さとう まさみ 佐藤 雅美 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医(指導医) | ||
副部長 | まんだい ひろこ 萬代 裕子 |
麻酔・周術期管理 |
日本専門医機構認定麻酔科専門医、日本麻酔科学会認定指導医 | ||
副部長 | ふかみ のりひこ 深見 紀彦 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医 日本救急医学会救急科専門医 | ||
医長 | もりしま しおり 森島 史織 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医 | ||
医長 | いしい まき 石井 真紀 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医(指導医) | ||
医長 | のぐち えりこ 野口 英梨子 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医(指導医) | ||
医長 | しのはら ひろみ 篠原 洋美 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医(指導医) | ||
医長 | なりた はづき 成田 葉月 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医 | ||
医長 | かとう むねのり 加藤 宗則 |
麻酔・周術期管理 |
医長 | あおやま のりこ 青山 典子 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医 | ||
医長 | たかい あきこ 高井 明子 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医 | ||
医長 | みなみの そのこ 南野 園子 |
麻酔・周術期管理 |
日本麻酔科学会麻酔科専門医 | ||
医員 | こはら じゅんぺい 小原 淳平 |
麻酔・周術期管理 |
医員 | いくの ともみ 生野 智美 |
麻酔・周術期管理 |
専攻医 | かなぼし ゆきえ 金星 幸栄 |
麻酔・周術期管理 |
診療体制と概要
麻酔科指導医5名,専門医5名を中心に,計15名で診療に当たっています。
手術室での全身麻酔,硬膜外麻酔,脊髄くも膜下麻酔による全症例の麻酔管理を担当しています。
麻酔科医の仕事は,手術予定の患者さんが手術室に着かれてから始まるのではありません。前もって情報を収集し,それに応じて麻酔計画を立てます。特に合併症のない患者さんでも,緊急手術以外は,事前に麻酔科外来に来診いただき,麻酔科医(外来担当)が面談する中で,その方にあった麻酔法を考えます。患者さんの疑問にも,できるかぎりお答えします。各症例の麻酔担当医は,この情報とその後の検査結果や病状の変化を考慮して,麻酔計画を決定します。
術前の絶食は必要ですが,消化器以外の手術の方では,手術室入室の3時間前までは,水は飲んでも良いようになり,手術前の口渇や空腹感は以前ほどではなくなりました。そして,歩ける患者さんには,歩いて手術室に来ていただきます。
麻酔法は,予定手術と患者さんの合併症などにより,全身麻酔,全身麻酔と硬膜外麻酔,脊髄くも膜下麻酔などから選択されます。術後の疼痛は,手術の種類により特別な対策が必要なものとそれほどではないものがありますが,必要な場合には,硬膜外麻酔,鎮痛薬の持続静注法などにより除痛を図っています。術後の合併症の予防・治療にも,麻酔科医は手術担当診療科の医師に協力して当たります。
診療実績
2020年度の麻酔科管理症例数は2,911例,そのうち緊急手術は302例(10%)でした。また2015年4月以降は麻酔科医による当直体制を充実させ,年365日・24時間体制で重症・緊急手術症例にも対応しています。
診療科別の麻酔科管理症例数(表1)では,外科・整形外科・泌尿器科症例が多く,全体の2/3以上を占めています。
麻酔方法別(Fig.1)では,全身麻酔及び全身麻酔+硬麻・伝麻がかなりの割合を占めていますが,脊髄くも膜下麻酔(+硬膜外麻酔)も相当数施行しています。また,患者の重症度をASA-PS分類(Fig.2)でみると,ASA-PS 1〜2の症例が多くを占めますが,ASA-PS 3以上の症例も10%以上含まれており,全身状態に高度の問題がある患者さんも積極的に受け入れています。
(表1) 2020年度診療科別麻酔科管理症例数
診療科 |
件数 |
% |
外科 |
701 |
24.1 |
整形外科 |
764 |
26.2 |
泌尿器科 |
548 |
18.8 |
耳鼻咽喉科 |
292 |
10.0 |
産婦人科 |
296 |
10.2 |
呼吸器外科 |
164 |
5.6 |
歯科口腔外科 |
49 |
1.7 |
脳神経外科 |
49 |
1.7 |
眼科 |
13 |
0.4 |
その他 |
35 |
1.2 |
合計 |
2,911 |
100 |
■Fig.1 麻酔方法別分類
■Fig.2 ASA-PS別分類
本館と北館(新館)と合わせて10室の手術室が稼働しています。名前は本館と北館になっていますが,構造的にはシームレスにつながっており,機能的にも違和感のない一つの手術センターとなっています。2013年からは手術支援ロボット(ダヴィンチ)による手術が開始されました。当初は泌尿器科から始まりましたが,消化器外科,呼吸器外科においてもダ・ヴィンチによる手術が急速に増加しています。2020年5月には,最新鋭のダヴィンチXiが導入されました。このような新しい術式に合わせた麻酔管理にも取り組んでいます。
最近の麻酔科 update
北館の手術室開設に合わせて,生体情報モニターを一新し(PHILIPS IntelliVue MX700),病院のイントラネットとアプリケーションと連携して各部屋の生体情報が麻酔科医員室でも監視できる体制を整えました。また,北館4室の室内監視カメラや術野カメラの映像も医員室で監視可能となり,手術室の安全面での向上を図っています。現在,手術室管理システム及びICUとのシステマチックな管理ソフトの刷新を図り,手術室を更に安全かつ効率的に運用できるように鋭意努力中です。
手術室の安全面を重視して,麻酔器を全ての手術室で一機種(Dräger Fabius® GS Premium)に統一し,操作ミスなどの撲滅を図りました。汎用される吸入麻酔薬デスフルラン及びセボフルラン両方の気化器を全ての麻酔器に配備し,症例ごとに気化器を交換するという手間も省きました。
術後鎮痛法として,従来より硬膜外麻酔を併用していましたが,周術期の抗血栓療法の普及に伴い,硬膜外麻酔の適応は減少しています。そこで,超音波ガイド下による神経ブロックも積極的に取り入れ,良好な術後鎮痛を得ています。さらに,携帯型精密輸液ポンプ(CADD-Solis PIB)による経静脈患者自己管理鎮痛法(iv-PCA)の導入により,従来のバルーン式ディスポーザブルインフューザーによるiv-PCAよりも,患者さんの痛みに応じたきめ細かい設定が行えることから,適応を拡大しています。術後の急性期痛に対する麻酔科医,看護師,薬剤師、栄養士によるAcute Pain Service(APS)チームによる術後ラウンドも導入しています。
学会,研究会への参加状況
日本麻酔科学会,日本臨床麻酔学会,日本ペインクリニック学会,日本集中治療医学会で演題発表をしているほか,ローテート中の研修医が出会った興味深い症例については,大学の研究会や日本麻酔科学会地方会などで積極的に発表しています。
臨床研究のお知らせ
〇経尿道的膀胱腫瘍切除術におけるアミノレブリン酸が脊髄くも膜下麻酔施行後の血圧変動に及ぼす影響
(2018年1月から2019年3月までの期間に京都市立病院において脊髄くも膜下麻酔施行下に経尿道的膀胱腫瘍切除術を受けた症例)
対象患者さん向け公開資料
施設基準・学会認定
日本麻酔科学会麻酔科認定病院
麻酔科専門医研修プログラム基幹施設
麻酔科専門研修プログラム
☆詳細は,京都市立病院麻酔科専門研修プログラムをご覧ください。