ロボット支援手術について

ダヴィンチとは

 ダヴィンチは,低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発された手術支援ロボットです。 ロボット部と操作部,助手用の映像カートで構成されており,高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像の下,人間の手の動きを正確に再現する装置です。
 ロボット部には先端に鉗子やメスなどを取り付ける4本のロボットアームと内視鏡が装着され,術者は箱型の操作部に映し出される鮮明な内視鏡画像を見ながら人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を備えた器具を使用し,精緻な手術を行うことができます。また,このロボット支援手術は完全に医師の操作によって実施されます。

 当院では,2013年7月に手術支援ロボット ダヴィンチ Siを導入しました。京都市内では,2つの大学病院に次ぐ3番目の導入であり,これまでの腹腔鏡を用いた手術に比べ,より安全で,より安定した精度の高い手術が可能となり,患者さんへの身体的負担も少なくすることができます。
 2020年4月には,ダヴィンチ Siの後継となるダヴィンチ Xiへと機器を更新しました。ダヴィンチ Xi は最新のモデルで,前世代のシステムに比べ機能が充実し,より複雑で難しい手術に対しても低侵襲で手術が可能となっています。

ダヴィンチの構成

 ダヴィンチは「操作部(サージョンコンソール)」「ロボット部(ペイシェントカート)」「映像カート(ビジョンカート)」の3つの機器で構成されています。患者の間近に設置されたロボット部のカメラが捉えた患部画像を映像カートで3D画像化し,術者はこれを操作部で見ながらロボット部の鉗子を操作して手術を行います。

 

 

術者の見る映像

ロボット部の内視鏡によって,操作部に3D(3次元)の高精細拡大映像が送られてきます。術者は,手元で組織や鉗子を細部まで確認することができます。

術者の見る映像

術操作の伝達

緻蜜な動作が必要とされる手術。操作の際,術者の手の動きは実際よりも小さな動作に変換され,手ぶれも取り除かれてロボットアームに伝わります。

術操作の伝達

ロボットアームの関節

鋏や鉗子などを取りつけるアームは関節を備えています。人で言えば手首にあたりますが,人の手以上に自由に動かすことができます。

ロボットアームの関節

ダヴィンチの特徴

鉗子の多関節機能

鉗子などを取り付けるアームの関節の可動域は大きく,人の手よりも自由で詳細な動きが可能です。その再現精度は極めて高く,スムーズであり,患部に直接触れているような感覚で手術することができます。

手ぶれ防止機能

術者の手先の震えが鉗子に伝わらないよう,手ぶれを制御する機能が搭載されています。細い血管の縫合や神経の剥離など,高い集中力を必要とする精緻な作業でも,正確に操作をすることができます。

3D画像

術者は3次元カメラによる鮮明で奥行きのある画像を見ることができ,3Dの高精度拡大画像で組織や鉗子を細部まで確認しながら手術を進めることができます。

手術支援ロボットda Vinci (Xi)のご紹介

 ダヴィンチ Xi は,国内では2015年5月から販売を開始した最新のモデルで,前世代のダヴィンチシステムに比べ機能が充実し,より複雑で難しい手術に対する低侵襲手術の可能性が更に広がりました。

・ アクセス性・可動域の大幅な向上を実現

・ 新しい構造が採用され,腹部及び胸部において,手術部位へ様々な角度から容易にアクセスが可能

・ 細径化したロボットアームと新デザインの関節により,患者さんとの距離を最適化しながら,より大きな可動域を実現するとともに,手術可能な範囲を拡大

・より高倍率な3D-HD手術画像と新エンドスコープが,視野展開の多様化を実現

・エンドスコープに新たなデジタル構造を採用し,カメラヘッドを一体化してコンパクト化を図りながら,画質と操作性の向上を実現

・エンドスコープが全てのアームに装着できるようになり,広範囲に術野展開することが可能

ロボット支援手術のメリット

患者さんの身体への負担軽減
ロボット支援手術は,患者さんの体に小さな穴を開けて行う傷口が小さい低侵襲の手術です。
そのため,「傷口が小さい」「出血量が少ない」「手術後の痛みを軽減」「回復が早く短い入院期間」といったメリットがあります。
精度の高い手術
ダヴィンチでは,術者が拡大された立体画像を見ながら,手ぶれを自動補正された大きな動きで,細かな手術操作を繰り返していきます。高精度の映像でより細部まで確認でき,従来の手術では届きにくかったところまでロボットのアームが届き,実際の手では困難な動きも可能としますので,これまで取りにくかったがん病変まできれいに取り除くことができることから「再発を減らす」「合併症を減らす」可能性も高まります。

当院で行っているロボット支援手術

 2018年4月,ロボット支援下内視鏡手術12件が一挙に保険適用となりました。保険承認の対象となったのは肺がん,食道がん,胃がん,直腸がん,子宮がんなどで,それまでに保険適用されていた腎臓がん,前立腺がんの2件と合わせて14件となりました。

保険適用疾患

 ※上記については,医療保険でのお支払いとなります。詳しくは病院スタッフへお尋ねください。

当院の実績

泌尿器科

前立腺がん,腎がんのロボット支援手術について
ロボット支援手術は,既に前立腺がんに対する手術では保険がきき,当院でも多数の患者さんがその恩恵を享受されています。ロボット支援手術専用の手術室の効率的な運用で,手術まで長期間お待ちいただくことなく治療が可能です。
2016年4月,腎がんのロボット支援手術に保険がきくようになりました
当院では,腎がんに対する腎部分切除術においても積極的にロボット支援手術を行ってきました。
2016年4月,待望のロボット支援手術の腎がんに対する保険適応を受け,同手術施行のための厳しい施設基準をいち早くクリアし,引き続き保険診療で積極的に手術を行っています。腎がんに対するロボット支援腎部分切除術は,患者さんに負担をお掛けすることなく,1)がんを完全に治すこと,2)術後も腎の働きをできる限り保持すること,という,相反する二つの目的を両立させることが可能な理想的な手術です。

 前立腺がんや腎がんと診断され,地域の医療機関を受診中の方は,かかりつけの先生を通じ,当院までご相談ください。

対象疾患と手術実績
  2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
前立腺がん 66 53 52 81 61 92
腎がん 10 13 16 24 25 16
膀胱がん 0 4 4 10 19 12

消化器外科

 2013年にダヴィンチSiが配備されたことを受けて,ライセンスを持つ医師2名を中心にロボット支援胃がん手術の準備を進めました。その後,倫理委員会の承認を経て,患者への充分なインフォームドコンセントの下に開始し,これまで多数の実績を積み重ねてきました。
 現在,胃がん・直腸がんの手術においてロボット特有の機能を用いて,従来の腹腔鏡下手術よりも高精度・低侵襲な手術を提供しています。特に,ダヴィンチXiによる直腸超低位前方切除で,腫瘍が肛門に近い患者さんにも肛門温存が可能となっています。麻酔科による腹直筋神経ブロック,NSAIDSの術後定期投与を低侵襲手術と組み合わせ,「痛くないがん根治手術」を実践しています。

対象疾患と手術実績
  2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
胃がん 15 12 2 6 7 10
直腸がん 0 0 0 0 0 3

呼吸器外科

 当院呼吸器外科では,2018年4月に保険適用されて以後,症例の集積が進み,2018年9月には施設基準を満たして,胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術,胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術,胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除または1肺葉を超えるもの)の3件の保険診療を開始しました。

対象疾患と手術実績
  2018年度 2019年度 2020年度上半期
肺がん 18 17 12
縦隔腫瘍 6 5 6
重症筋無力症 2 2 1

 

よくあるご質問

Q:ロボット支援手術とはなんですか?
A:ロボット支援手術というと「ロボットが人に代わって自動で手術をしてくれる」と思われる方も多いのではないでしょうか。しかし,このロボットは少し違います。自動で動くのではなく,外科医が3D映像を見ながら遠隔操作し,人よりも精密な動きができるロボットを操って手術をするのです。
Q:ロボット支援手術の良いところはなんですか?
A:メスやカメラの小さな侵入口だけあれば手術できるので,患者さんの負担が少なくて済むのはもちろん,このロボットには4本のアームがあり,人の手よりも多くの関節を持っています。スムーズに動くだけでなく,手ぶれを補正し,より精密な手術ができます。
Q:どんな病気でもダヴィンチで手術することができますか?
A:手術が必要となるすべての疾患で,ダヴィンチによる手術が行えるわけではありません。ダヴィンチを導入している施設では,泌尿器科や一般消化器外科,胸部外科,婦人科などで使用されています。当院では,「前立腺がん」「膀胱がん」「腎がん」「胃がん」「肺がん」等を対象とします。
Q:費用はどのくらいかかりますか?
A:当院では,2013年9月から「前立腺がん」,2016年4月から「腎がん」,2018年4月から「膀胱がん」,2018年9月から「胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術」「胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術」「胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除または1肺葉を超えるもの)」を保険診療として実施しております。そのため,先進的な医療であるにも関わらず,医療費の負担は従来の手術とあまり変わりません。その他の疾患については,保険適用ではないため自由診療となり,全額自己負担となります。

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