産科・婦人科の手術

産科の手術

母体搬送のお母さんや、陣痛が開始しても経腟分娩が難しいと判断されたお母さんの、緊急も含めた帝王切開術、何回も流産・早産を繰り返して子宮の出口が緩くなっている子宮頸管無力症の方に行う子宮頸管縫縮術、子宮のなかで赤ちゃんが亡くなってしまった子宮内胎児死亡の方の子宮内容除去術、出生前染色体検査診断のための羊水穿刺があります。
子宮内容除去術を行う際には母体や子宮内膜へのダメージを軽減する方法として真空管吸引を用いた手術を行います。

婦人科の手術

円錐切除術

子宮頸部上皮内異形成(0期の子宮頸がん、前がん状態と呼ばれています)の診断で、子宮頸部を円錐状に切除して異形成の部分を切除します。子宮を温存できるためこれから妊娠を希望する方に良い適応となります。一方で子宮の入り口が短縮することで術後に妊娠した場合には流早産のリスクが上昇するため、慎重な周産期管理が必要です。また術後に頸管狭窄症を生じる場合があります。

ロボット支援下手術

ロボット支援下による子宮全摘術ではダビンチシステムを用いて行います。従来の腹腔鏡手術に比べて、カメラがぶれないため、より精密な視野が得られるため、細かい血管や組織構造を意識した手術が可能です。またロボットアームの力で腹壁を持ち上げることができるため、体格の大きい方に適した手術と言えます。

腹腔鏡下手術

良性疾患ではほとんどの場合、腹腔鏡手術が可能です。腹腔鏡手術ではお腹に4箇所の小さな孔をあけ、ポートという出入り口を留置し、カメラによる観察と長い鉗子を使って手術を行います。

卵巣のう腫:卵巣のう腫に対しては、卵巣を温存してのう腫のみを摘出する方法(腹腔鏡下卵巣のう腫摘出術)と根治性を考え卵巣卵管を丸ごと摘出する方法(腹腔鏡下付属器切除術)があります。腔鏡下卵巣のう腫摘出術を行う際には術後の妊孕性温存を意識し、正常卵巣へのダメージを最小限に抑える工夫をしています。

子宮内膜症:子宮内膜症では卵巣にできるチョコレート囊胞と呼ばれる卵巣のう腫の他にも腹膜病変や深部病変と呼ばれる病変や癒着が形成されている場合が多いです。手術ではできる限り病変を取り除いたり焼灼することと、これから妊娠を考える方には、正常の卵巣をできるだけ傷つけない手術が重要となります。術前術後のホルモン療法を組み合わせて、再発させない管理が重要となります。また妊娠希望の方は術後早期に妊娠していただくように治療戦略を立てていきます。

子宮筋腫:子宮筋腫に対しては子宮を温存して子宮筋腫のみを摘出する方法(子宮筋腫核出術)と子宮筋腫による症状の根治性を考え子宮を丸ごと摘出する方法(子宮全摘術)があります。子宮筋腫核出術は主に妊孕性温存を希望する患者さんや子宮全摘に抵抗を感じる患者さんに行います。子宮筋腫のできる場所や大きさによって子宮鏡手術の方が望ましい場合もあります。腹腔鏡下子宮筋腫核出術後に妊娠した場合には基本的には帝王切開術による分娩が必要です。大きな子宮筋腫や多発の子宮筋腫対しては、将来帝王切開をするであろう皮膚切開位置に小切開を併用し、将来の妊娠に備えてしっかりと子宮創部縫合する方法(腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術)を行います。

子宮腺筋症:子宮腺筋症は子宮筋腫とは違い、正常の子宮筋層との境界が不明瞭であるため、ほとんどの場合、手術を行う場合には子宮全摘術を行います。妊孕性温存を希望される場合にも子宮筋層が削れてしまうため、術後妊娠した場合にも慎重な周産期管理が望まれます。

子宮鏡手術

子宮鏡手術は腟を通して子宮内に子宮鏡というカメラを挿入して手術を行います。

子宮内膜ポリープ:当院では「組織切除回収システム(シェーバー)」を使⽤した⼦宮鏡⼿術を行っています。この⼿術は局所⿇酔または軽い鎮静剤を使⽤して行うため日帰りでの手術が可能です。⽇常⽣活への影響が少ないため、多くの患者様にとって負担が少ない⽅法です。

子宮筋腫:子宮筋腫の中でも粘膜下筋腫という子宮の内腔に近い部分にできる子宮筋腫は小さくても過多月経の原因になりやすい筋腫です。粘膜下筋腫に対しては子宮鏡を用いて子宮筋腫のみを切除する方法(子宮鏡下子宮筋腫摘出術)を行います。正常の筋層を切開縫合する必要がないため、術後に妊娠した場合にも基本的には経腟分娩が可能です。
本邦のガイドラインでは子宮鏡下子宮筋腫核出術について対象となる条件は子宮筋腫径が30mm以下かつ子宮内腔への突出度が50%以上を目安とするが、特に優れた術者ではこの限りではない。とされており、他院で子宮鏡下手術は難しいとされた症例でも、粘膜下筋腫であれば子宮鏡手術で対応可能な場合もありますのでご相談ください。

卵巣悪性腫瘍手術

卵巣がん、卵管がんなどの悪性疾患の場合は、原則的におなかを切開して開腹で手術を行います。術前の化学療法を行って、病変を小さくしてから手術を行う場合もあります。この場合、化学療法前に少量の病変をとってその性質を調べる必要があり、審査腹腔鏡という手術を行います。手術でできるだけ病変を取り切ることが予後に直結すると言われています。手術では子宮と両方の付属器、大網と呼ばれるリンパ組織に加えて、病変の広がりによってはリンパ節の摘出や、腸管の合併切除を行います。

子宮悪性腫瘍手術

子宮体がん:子宮体がんは子宮体部にできる悪性腫瘍です。子宮体がんの中でもIa期で組織が類内膜がんGrade1またはGrade2とされる状態に限って腹腔鏡下に手術が可能です。より進んだステージで発見されたり、組織型によっては開腹手術を行い、子宮と両方の付属期、リンパ節の摘出を行います。

子宮頚がん:子宮頸がんは子宮頸部にできる悪性腫瘍です。病変の広がりによって、子宮頸部の横方向に広く子宮を切り取る方法(広範子宮全摘術)や、切り取る範囲をやや縮小した方法(準広範子宮全摘術)を行います。ステージがより進んだ状態で発見された場合には手術よりも化学療法と放射線療法を組み合わせた治療を行う場合があります。

その他

本来の子宮内妊娠以外の場所での妊娠である異所性妊娠や、胞状奇胎や絨毛がん等の場合の子宮内容除去術、子宮・腟の先天性の奇形などに対する形成手術などがあります。

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京都市立病院

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