例1.食道癌の内視鏡的摘出
消化器内視鏡医は内視鏡で食道癌を発見(左図)すると、1ミリ程度の小さな組織を鉗子でつまんで病理に提出します。病理医はその顕微鏡標本(右図)から食道の病変が癌であることを確定します。
病理で癌が確定されたので、内視鏡医は内視鏡下に癌を摘出し(左図)、病理に摘出した組織を提出します(右図)。
病理医は提出された臓器を詳しく調べ、(1)癌の広がりと深さ、(2)癌の性格、(3)取り残しの有無、(4)内視鏡所見と病理所見の対比(術後に検討会を行って診断精度を高める)、などを行います。
摘出組織を固定し(左図)、そこにルゴール液をかけて癌の範囲を決めます(右図)。右写真の白っぽい部分に癌があります。この手法は内視鏡でも癌の範囲を決める目的で行われています(対比)。
実体顕微鏡で食道の血管網を観察し、癌の深達度を推定します。食道内視鏡ではNBIという手法で同様の事を行っています(対比)。右は画像解析で血管網を強調した画像です。
標本を2-3mm間隔で全割して、顕微鏡標本を作って癌の広がりと深さのマッピング(病変の広がりの地図)を行います。それによって追加治療の必要性、予後の推定などが可能になります。
ピンクと紫の上の写真は、癌の組織を4ミクロン(1mmの1/250)の厚さに切ってヘマトキシリン・エオジン染色によって細胞を染め分けたもので、私たち病理医は顕微鏡で細胞の姿をみて診断を行っています。