血液内科

「令和5年度京都市立病院ミニ市民公開講座」として、「血液がん」をテーマとした講座を開催します。お知らせはこちらをご覧ください。

基本診療方針

  1. evidence-based medicineの考え方に基づいた血液疾患の治療
  2. 化学療法など専門性の要求される治療の実施
  3. 適応のある症例に対する自家および同種造血幹細胞移植治療の積極的な導入

医師紹介

血液内科輸血・
造血幹細胞移植科
部長
いとう みつる
伊藤 満
臨床血液学・造血器悪性疾患の治療・造血幹細胞移植・輸血学

日本血液学会専門医・指導医 日本血液学会評議員 近畿血液学地方会評議員
日本内科学会認定医 日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本造血・免疫細胞療法学会造血細胞移植認定医 日本造血・免疫細胞療法学会評議員 日本輸血・細胞治療学会認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医 細胞治療認定管理師
京都大学医学部臨床教授 日本骨髄バンク認定調整医師
米国血液学会(ASH)international member

血液内科部長 みやはら やすこ
宮原 裕子
臨床血液学・造血器悪性疾患の治療・造血幹細胞移植
日本血液学会専門医・指導医 日本血液学会評議員 近畿血液学地方会評議員
日本内科学会認定医 日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本造血・免疫細胞療法学会造血細胞移植認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医 細胞治療認定管理師
医長 まつい まさし
松井 道志
臨床血液学・造血器悪性疾患の治療・造血幹細胞移植
日本血液学会専門医 日本内科学会認定医 日本内科学会総合内科専門医
医長 さくらだ まき
櫻田 麻希
臨床血液学・造血器悪性疾患の治療・造血幹細胞移植
日本血液学会専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本内科学会認定医 日本造血・免疫細胞療法学会造血細胞移植認定医
医員 ひきだ りょうすけ
疋田 涼介
臨床血液学
医員 いのうえ ゆうた
井上 雄太
臨床血液学
医員 おくだ たけひろ
奥田 健大
臨床血液学
医員 なかやま だいすけ
中山 大輔
臨床血液学

外来担当医表

外来担当医表はこちら

診療体制と概要

診療疾患

血液疾患は悪性リンパ腫を中心に近年発症頻度が増加していますが、血液内科を専門科として擁する病院は決して多くありません。血液疾患でもとりわけ造血系悪性腫瘍は造血幹細胞移植など特殊な治療を必要とする場合が多いので、専門的なスタッフと施設が必要です。当科ではそのような血液疾患の患者のニーズに応えられるよう最大限の努力を払っています。

診療範囲としては、主として血液疾患全般(急性・慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、再生不良性貧血、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、溶血性貧血、多血症、本態性血小板血症、特発性血小板減少性紫斑病など)を担当しています。

診療体制

常勤医師8名(日本血液学会血液指導医2名、同血液専門医4名、日本造血・免疫細胞療法学会造血細胞移植認定医2名、日本内科学会総合内科専門医3名、日本輸血・細胞治療学会認定医1名)、応援医師1名で診療を行っています。外来は平日1ないし2診、新患及び予約制専門外来は月〜金曜日、平日は毎日新患及び紹介患者を受け入れています。

概要

2022年度の入院患者総数は543名、1日あたり平均入院患者数は34名でした。入院患者の80%以上は血液悪性疾患であり、化学療法や造血幹細胞移植目的の入院が殆どです。悪性リンパ腫や多発性骨髄腫など通院での化学療法が可能な症例では、積極的に外来化学療法センターでの治療を行っています。当科における骨髄検査件数は年間500件以上です。院内フローサイトメトリー検査にも対応しており、造血系悪性腫瘍の迅速診断に寄与しています。日本造血・免疫細胞療法学会で研修を受けた看護師が造血幹細胞移植後患者の外来フォローアップに携わっています。また日本造血・免疫細胞療法学会認定造血細胞移植コーディネーター(HCTC)1名も各種移植業務の円滑化に貢献しています。

5B病棟と4B病棟に病床を有し、5B病棟には、クリーンルーム11床(クラス100ユニットを含む個室3床、総室8床)が設置・運用されています。近年当科の患者数は入院・外来とも著増しており、造血幹細胞移植については2018年4月に輸血・造血幹細胞移植科を新設しました。

新規導入の診療・治療法

京都市立病院血液内科での同種造血幹細胞移植は血縁者間移植に加え、認定が必要な非血縁者間臍帯血移植及び非血縁者間骨髄移植の実施が可能です。京都府下において小児科および血液内科共に非血縁者間移植に対応できる数少ない病院の一つです。

近年血液内科分野では、分子標的治療薬、抗体医薬、免疫調整薬、再生医療製品など、これまでの常識を覆す新規治療薬が毎年のように登場しており、治療内容も大きく変化していますが、当科では適応症例に対してそれら新規治療薬も積極的に使用しています。

参加中の臨床試験(疫学調査を含む)

血液疾患登録(日本血液学会)<登録中>

造血細胞移植医療の全国調査(日本造血細胞移植データセンター)<登録中>

京都造血幹細胞移植グループの造血幹細胞移植データを用いた移植成績の解析(京都大学 京都造血幹細胞移植グループ)<登録中>

造血器疾患における遺伝子異常・エピジェネティクス異常の網羅的解析研究(京都大学血液研究グループ)<登録中>

FLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病におけるFLT3阻害剤使用状況調査及び治療予後に及ぼす影響の解析(京都大学血液研究グループ)<登録中>

造血器悪性腫瘍における用量調整静注ブスルファン1日1回投与を含む前処置を用いた同種造血幹細胞移植の安全性と有効性の検討(京都大学血液研究グループ)<登録中>

初発BCR-ABL1陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)を対象としたダサチニブ、ポナチニブ併用化学療法および造血幹細胞移植の臨床第II相試験(JALSG-PhALL219)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

再発急性前骨髄球性白血病(APL)に対するTamibarotene(Am80)と亜ヒ酸(ATO)の併用、寛解後療法としてGemtuzumab Ozogamicin (GO)を用いた治療レジメンの有効性および安全性検証試験 -第II相臨床試験-(JALSG-APL219R)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

高齢者急性骨髄性白血病(AML)の層別化により化学療法が可能な症例に対して若年成人標準化学療法の近似用量を用いる第II相臨床試験(JALSG-GML219)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

本邦の初発APLに対するATRA+ATO療法の多施設共同第II相試験(JALSG APL220)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

t(8;21)およびinv(16)陽性AYA・若年成人急性骨髄性白血病に対する微小残存病変を指標とするゲムツズマブ・オゾガマイシン治療介入の有効性と安全性に関する臨床第Ⅱ相試験(JALSG CBF-AML220)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者を対象とするMEC(ミトキサントロン/エトポシド/シタラビン)とギルテリチニブの逐次療法の非盲検、多施設共同、前向き介入試験(JALSG-RR-FLT3-AML220)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

小児および若年成人におけるランゲルハンス細胞組織球症に対するリスク別多施設共同第Ⅱ相臨床試験(JPLSG-LCH-19-MSMFB)(日本小児がん研究グループ:JCCG)<登録中>

小児、AYA世代および成人T細胞性急性リンパ性白血病に対する多施設共同後期第Ⅱ相臨床試験(JPLSG-ALL-T19)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

小児・AYA・成人に発症したB前駆細胞性急性リンパ性白血病に対する多剤併用化学療法の多施設共同第Ⅲ相臨床試験(JPLSG-ALL-B19)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録中>

アグレッシブNK細胞白血病に関する多機関共同後方視的研究(ANKK22)(島根大学附属病院を中心とした多施設共同研究)<登録中>

骨髄腫関連疾患患者の臨床データおよび治療経過に関する疫学観察研究(関西骨髄腫フォーラム)<登録中>

再発又は難治性CD20陽性低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫患者を対象にしたベンダムスチン、リツキシマブ併用療法の有効性と安全性の検討:臨床第Ⅱ相試験(BRサルベージ試験)(京都大学血液研究グループ)<登録終了>

未治療移植適応多発性骨髄腫患者を対象にしたボルテゾミブを用いた寛解導入・地固め・維持療法および大量抗がん剤併用自家末梢血幹細胞移植の安全性と有効性の検討:臨床第Ⅱ相試験(KHSG MM13)(京都大学血液研究グループ)<登録終了>

ベネトクラクス血中濃度の個体間変動と効果・副作用に関する研究(京都大学血液研究グループ)<登録中>
未治療移植適応多発性骨髄腫患者を対象にしたボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾンを用いた寛解導入療法、自家末梢血幹細胞移植、ダラツムマブ・レナリドミド・デキサメタゾンを用いた地固め療法及びレナリドミドを用いた維持療法の臨床効果と安全性を検討する第II相臨床試験(KHSG MM17)(京都大学血液研究グループ)<登録終了>

成人Burkitt白血病に対する多剤併用化学療法による第Ⅱ相臨床試験(JALSG Burkitt-ALL213)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録終了>

参加施設に新たに発生する全AML、全MDS、全CMML症例を対象とした5年生存率に関する観察研究(JALSG-CS-11)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録終了>

研究参加施設に新たに発生する全ての成人ALL症例を対象とした5年生存率に関する前向き臨床観察研究(JALSG ALL-CS-12)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録終了>

初発慢性期の成人慢性骨髄性白血病に対するニロチニブとダサチニブの分子遺伝学的完全寛解達成率の多施設共同前方視的ランダム化比較試験(JALSG CML212)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録終了>

JALSG参加施設において新規に発症した全AML、全MDS、全CMML症例に対して施行された治療方法と患者側因子が5年生存率に及ぼす影響を検討する観察研究(JALSG-CS17)(日本成人白血病治療共同研究グループ:JALSG)<登録終了>

骨髄不全患者を対象としたHLA-Aアレル欠失血球の検出(金沢大学附属病院を中心とした多施設共同研究)<登録終了>

再生不良性貧血/骨髄異形成症候群の前方視的症例登録・セントラルレビュー・追跡調査研究(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業)<登録終了>

血小板輸血不応患者における抗HLA抗体の検出と臨床的意義(日本赤十字社)<登録終了>

非重症再生不良性貧血に対するシクロスポリン療法の有用性に関する検討(W-JHS AA01)(西日本血液臨床グループ:W-JHS)<登録終了>

強力な寛解導入化学療法の適応とならない未治療のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病患者を対象とした、ASP2215(gilteritinib)、ASP2215+アザシチジン及びアザシチジン単独投与による第III相多施設共同非盲検ランダム化比較試験(治験)<登録終了>

未治療の急性骨髄性白血病患者を対象とした寛解導入療法及び地固め療法とのASP2215併用第I/II相試験(治験)<登録終了>

詳細につきましては、以下の各ホームページもご参照ください。

日本血液学会 http://www.jshem.or.jp/
日本造血細胞移植データセンター https://www.jdchct.or.jp/
京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~hemonc/
日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG) https://www.jalsg.jp/
関西骨髄腫フォーラム https://myeloma.jp/
西日本血液臨床グループ https://w-jhs.jp/
金沢大学血液・呼吸器内科 https://www.3nai.jp/

診療実績

治療成績

治療適応のある造血系悪性腫瘍に対しては化学療法および放射線療法を行い良好な成績をあげています。さらに、予後不良因子の多い症例に対して自家末梢血幹細胞移植を併用した超大量化学療法を、あるいは同種造血幹細胞移植(骨髄・末梢血・臍帯血)を積極的に実施しています。

血液内科における自家末梢血幹細胞移植および同種造血幹細胞移植の治療成績は以下のとおりです。(2023年12月末日時点)
当科でこれまで施行された自家末梢血幹細胞移植は106症例118回。疾患内訳は、悪性リンパ腫68例、多発性骨髄腫34例、その他4例です。同種造血幹細胞移植は137症例151回、内訳は、急性白血病87例、骨髄異形成症候群22例、悪性リンパ腫16例、その他12例。自家末梢血幹細胞移植全例、および同種造血幹細胞移植全例の5年生存率はそれぞれ73.7%、45.1%でした。

 

2018〜2022年度入院患者疾患内訳

疾患 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
実患者数 延入院
回数
実患者数 延入院
回数
実患者数 延入院
回数
実患者数 延入院
回数
実患者数 延入院
回数

急性骨髄性白血病

21 59 28 66 25 68 25 60 17 56
急性リンパ性白血病 9 30 6 13 6 22 5 16 7 20
慢性骨髄性白血病 8 14 7 13 5 8 4 7 6 7
成人T細胞白血病
リンパ腫
1 1 4 9 2 2 1 2 0 0
非ホジキンリンパ腫 88 219 97 201 87 222 66 174 86 211
ホジキンリンパ腫 5 7 4 9 1 1 3 7 3 7
骨髄異形成症候群 25 60 24 93 21 46 32 84 37 97
多発性骨髄腫 24 41 23 50 21 51 23 42 30 37
再生不良性貧血 11 18 9 14 4 4 4 6 3 6
特発性血小板減少性
紫斑病
8 11 8 8 9 11 10 10 10 11
造血細胞移植ドナー 9 9 8 8 11 12 10 11 11 11
その他 41 43 50 61 50 60 76 86 73 80
250 512 268 545 242 507 259 505 283 543

当科での造血幹細胞移植件数(1〜12月の年間集計)

  自家移植 同種移植
血縁骨髄 血縁末梢血 非血縁骨髄 非血縁末梢血 臍帯血
1995~1999 10 2 0 0 0 0 12
2000~2004 18 2 6 0 0 0 26
2005~2009 24 4 6 3 0 5 42
2010~2014 14 3 2 10 0 11 40
2015 6 0 3 2 0 6 17
2016 7 0 1 3 0 4 15
2017 7 0 3 5 0 7 22
2018 8 0 3 2 4 3 20
2019 4 0 3 1 2 5 15
2020 5 0 2 3 1 2 13
2021 8 0 5 0 1 3 17
2022 1 0 3 1 1 7 13
2023 6 0 3 3 0 5 17
118 11 40 33 9 58 269

施設基準・学会認定

日本血液学会認定研修施設

日本臨床腫瘍学会認定研修施設

日本がん治療認定医機構認定研修施設

日本内科学会認定医制度教育病院

日本骨髄バンク骨髄移植・末梢血幹細胞移植認定施設

日本臍帯血バンク臍帯血移植認定施設

日本造血・免疫細胞療法学会認定診療科(カテゴリー1)

 

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