胃がん
当院では、からだへの負担が少なく、精密な操作が可能な手術支援ロボットを用いた胃がん手術を行っています。
京都府内でロボット支援での胃がん手術を実施している医療機関は限られており、当院はその一つです。さらに、1か所の小さな切開からカメラと器具を挿入する「ダヴィンチSP」を導入しているのは、京都府内で当院のみです。(2025年12月時点)
また、手術後に起こりやすい体力低下や食事量の減少に対しても、多くの専門職が連携し、手術前から手術後まで一貫したサポートを行っています。ここでは、当院の胃がん治療についてご紹介します。
胃がんの診断と治療について
胃がんの診断方法や治療法については、以下で解説しております。ぜひご覧ください。
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YouTube解説動画(胃がんの基礎と治療)
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広報誌「やすらぎ」2025年10月号~胃がん・食道がん特集~
当院では、消化器内科・腫瘍内科・放射線科と連携して治療を行っています。内視鏡治療・抗がん剤・放射線治療が適切と判断される場合には各科で治療を行い、手術が適切な場合には外科で治療を行います。

胃がん手術にはどんな方法がありますか?
胃がんの手術は大きく次の3つに分けられます。
- 開腹手術(おなかを大きく切開する方法)
- 腹腔鏡手術(複数の小さな傷から器具を挿入する方法)
- ロボット支援手術
1.開腹手術
上腹部を大きく切開し、長い器具を用いて行う従来の手術方法です。
手術時間は比較的短い一方で、肉眼での操作となるため細かい血管や組織が見えにくく、一般的に出血量が多くなる傾向があります。また傷が大きいため、術後の痛みが強いことが報告されています。
2.腹腔鏡手術
5~12mm程度の複数の小さな傷から鉗子を挿入して行う低侵襲手術です。
カメラを挿入して観察するため細かな組織まで見えやすく、開腹手術より出血量が少ないと報告されています。
一方でまっすぐな鉗子を用いるため、可動性に制限があり、難易度が高く、手術時間は長くなる傾向があります。日本内視鏡外科学会では、内視鏡手術を安全かつ適切に行うための確かな技術を持つ医師を認定する制度を設けています(日本内視鏡外科学会 技術認定取得者)。当科では認定を受けた医師が手術に参加するようにしています。

3.ロボット支援手術
数か所の小切開からカメラと器具を挿入し、医師がロボットを操作して行う手術です。世界的に広く普及している「ダヴィンチ」は、高精細3Dカメラ・手ぶれ防止機能・人の手以上の可動域を備えており、精緻な操作が可能です。これにより、がんの根治性向上や術後の回復促進が期待できます。
ただし、触覚が直接伝わらないことや視野が限られることから、専門医の指導・参加が欠かせません。当院では胃がん手術の9割以上をロボット支援手術で実施しています。
新しいロボット「ダヴィンチSP」とは?
2023年に登場した「ダヴィンチSP」は、従来のように複数の傷が不要で、一つの小さな切開からカメラと3本の器具を挿入し、体内で展開して手術を行います。傷が少ないため術後の痛みが軽減される可能性があります。
京都市立病院では2023年12月に関西で初めて同機種を導入しました。
従来のロボット支援手術ではへそを切開する方法が一般的でしたが、当院では2025年5月から下腹部からのアプローチを開始しました。下腹部からのアプローチには、下記の利点が期待されます。
- 傷の痛みが少ないことが報告されている
- 下着で隠れるため整容性・美容面で優れる
- 瘢痕ヘルニアの発生が少ないことが報告されている
実際に下腹部からの胃切除術を受けられた患者さんも、術後の痛みが少なく、数日でほとんど気にならない程度まで回復しています。患者さんのお身体や腫瘍の状態などに応じて適切な切開方法を選択しています。
また、当院は京都府内で唯一ダヴィンチXiとダヴィンチSPの両方を導入しており、患者さんに適切な機種を選んで手術を行っています。

京都新聞 令和7年11月3日付朝刊に、当院の取組について広告が掲載されました。
ぜひご一読ください。当院の手術支援ロボットについての詳細はこちら
手術だけで身体はよくなりますか?
胃の手術の後には、食事量が減って、栄養状態が悪くなることがあります。また、手術前から栄養の状態が 悪い患者さんは手術後の経過が良くないことも分かってきています。しかし、対策はまだ十分に確立されていないのが現状です。
当院では、がんを治し、患者さんが手術後も元気に暮らし、趣味を楽しみ、仕事に復帰できるように、様々な職種が協力し、手術前から手術後まで回復を支援しています。

まとめ
当院では、がんの根治性を高めるとともに、術後の痛みを抑え、早期の社会復帰と生活の質の向上を目指し、精緻なロボット支援手術と多職種での連携支援を行っています。
受診をご希望の方は、かかりつけ医に紹介状(診療情報提供書)を依頼いただき、医療機関又は患者さんご自身で以下の方法からご予約ください。
≫紹介状をお持ちの方



