【京都市立病院】手術支援ロボット「ダヴィンチSP」による胃癌手術の症例蓄積進む~下腹部から行う痛みの少ない胃癌手術~
京都市立病院では、令和5年12月に関西で初めて手術支援ロボット「ダヴィンチSP」を導入し、令和6年4月から胃癌に対する手術を開始しました。この1年間で20例の胃癌手術を同機種で実施し、順調に症例を重ねています。
ダヴィンチSPは従来の機種と異なり、体にあける切開はわずか1か所です。その小さな傷から高精細カメラで体内を拡大表示し、細いアームを挿入して操作します。アームは人の指先のように繊細に動き、手ぶれ補正も備えているため、より正確な操作が可能です。
これにより、体への負担が軽減され、傷あとも目立ちにくく、手術後の痛みの軽減や回復の早さが期待されます。
「下腹部横切開」での胃切除術を導入!
当院では、令和7年5月から下腹部を横方向に切開する「下腹部横切開」での胃切除術を導入しました。
これは、従来の正中切開(おなかの真ん中を縦に切る方法)や臍部切開(おへその位置で切る方法)に比べて、瘢痕ヘルニアの予防や整容性(見た目の良さ)、術後の痛みの軽減に優れているとされています。
導入後の4ヶ月間(令和7年5月~8月)で行った5例は、いずれも術後4日以内に創部の痛みが軽快し、合併症なく退院されました。
京都府内でダヴィンチSPを導入しているのは京都市立病院のみで、ロボット支援による胃癌手術が可能な病院は全国的にも限られています。
当院はすでに従来型の「ダヴィンチXi」(複数の切開から操作するタイプ)も導入しており、患者さんの病状に応じて適切な機種を選択し、安全で質の高い医療の提供ができるよう努めてまいります。
医師コメント
ロボットの器具は人の指先のように細やかに動き、手ぶれもしないように設計されています。高精細カメラを体内に入れることで、細い血管や神経まで確認しながら精密な手術を行うことが可能です。新しいダヴィンチSPの導入により、従来は難しかった下腹部からのアプローチで、より痛みの少ない胃癌手術を実現できるようになりました。実際にこの方法で手術を受けられた患者さんが、痛みも少なく順調に退院されたことをとても嬉しく思っています。
総合外科 錦織達人