消化管

患者さんへのメッセージ

消化器がんの治療には手術療法・薬物療法・放射線療法などがあります。受診された患者さんにはまずCT・MRI・内視鏡検査などを行い、正確な診断を下します。その後、消化器外科・消化器内科・放射線科などの医師が集まって“キャンサーボードミーティング”を開き、それぞれの患者さんにとってどの治療が最適か相談して治療方針を決めています。
消化器外科では主に手術を担当していますが、患者さんにとって少しでも負担が少なく根治性の高い(完治する可能性が高い)手術を行うために、手術支援ロボット「ダヴィンチ エックスアイ(da Vinci Xi)」(ロボット手術についての詳細はこちら)や、4K・3Dの内視鏡といった最新の機器を使用しています。
また、手術の前に外来で受診している段階から入院中・退院後に至るまで、医師や看護師だけでなく、薬剤師・栄養士・理学療法士や作業療法士・医療相談員など多くのスタッフが関わり、地域の医療機関とも連携して診療を行っています。

消化器外科部長 松尾 宏一
消化器外科部長
松尾 宏一

消化器内科は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆道(胆のう・胆管)、膵臓のがんの診療を行っています。広範囲の臓器が対象となりますが、それぞれの臓器の特性に応じた診断と治療をガイドラインに準じて行っています。
食道、胃、大腸などの早期癌であれば、内視鏡的に切除することが可能です。少ない負担で治療が可能です。そのため早期発見や治療方針決定のための内視鏡検査は重要で、当院では検査体制を整えています。内視鏡で切除できない患者さんには、手術や放射線治療、抗がん剤治療など適切な治療を外科、放射線科、腫瘍内科と検討し行っています。
肝臓では手術が中心となりますが、当科では造影超音波検査による診断、ラジオ波による焼灼・エタノール注入などの局所療法、肝動脈化学塞栓療法、抗がん剤治療を担当しています。いずれも専門医による診断・治療が可能です。
胆道、膵臓は診断が難しい臓器ですが、CTやMRIはじめ各種内視鏡を使用した特殊検査で診断に務め、手術、抗がん剤治療、放射線治療などどの治療が適切か他科と合同で検討しています。 患者さんの不安に寄り添い、希望を確認しながら診療をすすめますので、安心して受診ください。

消化器内科部長 山下 靖英
消化器内科部長
山下 靖英

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食道がん

食道がんにかかる患者さんの数については、胃がん・大腸がんに比べて多くありませんが、近年増加傾向にあります。治療法によって患者さんへの負担が大きく変わるので、診断を正確に行って治療方針を決めることがとても重要です。

食事の際の“つまり感”や“飲み込みにくさ”、“胸痛”などで発見されることが多くなっています。またリンパ節(免疫器官の一つ)転移の影響で反回神経(喉から胸にかけて通っている神経)が麻痺をした場合には、“声がかすれる”という症状から見つかる場合もあります。 食道がんと診断するには内視鏡で組織診を行います。その他に上部消化管造影・CT・PET-CT・MRIなどの検査で他の臓器・リンパ節との位置関係を調べたり、転移・浸潤(しみ込むように周りに広がること)の有無などがないかを調べます。

早期の食道がんでは内視鏡的切除や放射線(化学)療法を行います。ある程度進行した食道がんに対しては、手術の前に化学(放射線)療法を行ってから手術を行います。以前は大きく胸やお腹を切る(開胸開腹)手術を行っていましたが、現在は胸腔鏡・腹腔鏡を使い、傷を小さくおさえられる手術を行うことができるようになっています。また手術では根治(いわゆる“完治”)が難しいと判断した場合には放射線化学療法を行います。

どの治療法を選択するかは、他の消化器がんと同様に消化器外科・消化器内科・放射線科などが参加する“キャンサーボードミーティング”でそれぞれの患者さんについて相談して治療方針を決めています。また、首に近い部分(頚部食道)のがんは耳鼻咽喉科で治療を行っています。

胃がん

胃がんの患者さんは減っていると言われていますが、胃がんで亡くなられる患者さんの数はいまだに肺がん・大腸がんに次いで3番目に多いと言われています早期がんでは症状はなく、多くの場合検診で見つかりますが、進行がんでは痛みや不快感、胸やけ、食欲低下といった症状で発見されることが多くなっています。内視鏡・消化管造影・CT・PET-CTなどの検査で他の臓器・リンパ節との位置関係を調べたり、転移・浸潤(しみ込むように周りに広がること)の有無などを調べて治療方針を検討します。

早期の胃がんには内視鏡的切除を行い、ある程度進行した胃がんには手術を行います。当院では他の施設に先駆けて2014年2月から手術用ロボット「ダヴィンチ(da Vinci)」を使った手術を導入しています(ロボット手術についての詳細はこちら)。ロボットを使用しない場合にも、腹腔鏡を用いた手術をほとんどの病気やけがに行っています。手術で取り切れない可能性があると判断した場合などには、手術前の化学療法も積極的に行っています。治療方針については、他の消化器がんと同様に消化器外科・消化器内科・放射線科などが参加する“キャンサーボードミーティング”でそれぞれの患者さんについて相談して決めています。

GIST

GIST(消化管間質腫瘍:しょうかかんかんしつしゅよう)は、食道・胃・小腸・大腸などの消化管の壁にできる腫瘍で、「粘膜下腫瘍」の一種です。粘膜から発生する「がん」とは異なりますが、大きくなると「がん」と同じように他の臓器に転移することがあります。

GISTができるのは胃が最も多く(60~70%)、小腸や大腸にできることもあります。かなり大きくなるまで無症状のことが多く、検診で内視鏡検査を行って発見されることが多いと言われています。

GISTの治療には“手術”と“薬物療法”があります。がんとは異なりリンパ節に転移することはほとんど見られないため、胃のGISTでは腹腔鏡を使って部分的に切除を行うことが大半です。胃の入口(噴門)や出口(幽門)に近い場合には、口から入れる内視鏡と腹腔鏡を組み合わせた切除(LECS)を行い、患者さんの負担をより少なくするようにしています。

大腸がん

大腸がんの患者さんの数は増えており、直腸がんと合わせると、がんの中では大腸がんにかかる人が一番多いと言われています下痢・便秘など排便の異常や出血(下血)、痛み(腹痛)などで発見されることが大半ですが、検診で便潜血陽性になり、精密検査で見つけられる場合もあります。最終的に診断をくだすためには内視鏡を行い、CT・MRI・注腸造影・PET-CTなどの検査でがんの大きさや肛門からの距離、他の臓器・リンパ節との位置関係を調べたり、転移・浸潤(しみ込むように周りに広がること)の有無などを調べます。

早期の大腸がんに対しては内視鏡的に切除を行い、ある程度進行していれば外科的に切除を行います。当院では外科で大腸がんの手術を受ける患者さんの8割以上で腹腔鏡を使った手術を行っており、なるべく小さな傷で負担が少なくなるように心がけています。

また、2022年4月からは手術用ロボット「ダヴィンチ エックスアイ(da Vinci Xi)」を使った手術も保険適応になり、当院でも導入しています(ロボット手術についての詳細はこちら)。進行がんでは膀胱や子宮など他の臓器に浸潤している場合もあり、泌尿器科・婦人科と合同で手術を行うこともあります。手術の前後に化学療法・放射線療法を行うこともあり、他の消化器がんと同様に、消化器外科・消化器内科・放射線科などが参加する“キャンサーボードミーティング”でそれぞれの患者さんについて相談して治療方針を決めています。

直腸がん

直腸がんに対する治療は近年急速に進歩しています。以前なら人工肛門をつけなくてはいけなかった患者さんでも肛門を残せる場合が増えています

直腸がんは出血(下血)や痛み(腹痛)で発見されることが多くなっています。組織診という“細胞の一部だけではなく、細胞が構成している組織を採取して、顕微鏡で調べる検査”を行い、診断を確定します。またCT・MRI・注腸造影・PET-CTなどの検査でがんの大きさや肛門からの距離、他の臓器・リンパ節との位置関係を調べたり、転移・浸潤(しみ込むように周りに広がること)の有無などを調べます。

早期の直腸がんであれば内視鏡的に切除を行い、ある程度進行していれば外科的に切除を行います。当院では2019年11月より手術用ロボット「ダヴィンチ エックスアイ(da Vinci Xi)」での手術を行っています(ロボット手術についての詳細はこちら)。骨盤の中はかなり狭いため手術の難易度は高くなりますが、ロボットを使うことで神経などを傷つけずに肛門に近い部分でもがんを切除してつなぐことが可能です。がんの大きさや位置によっては、手術の前に化学療法や放射線療法を行い、がんを小さくすることで肛門を温存できることもあります。それぞれの患者さんにどういった治療を行うかは、他の消化器がんと同様に消化器外科・消化器内科・放射線科などが参加する“キャンサーボードミーティング”で相談して治療方針を決めています。

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京都市立病院

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