核医学診断部門(医療関係者の方向け)
RI検査室では,PET/CT装置及びSPECT/CT装置を備え,様々な核医学検査を実施しています。
保有装置
PET/CT装置 1台 GE社製 Discovery PET/CT 610
SPECT/CT装置 1台 GE社製 Infinia3HawkEye4
Discovery PET/CT 610
Infinia3 HawkEye4
PET/CT検査
当院では,GE社製のPET/CT装置(Discovery PET/CT 610)を導入しています。
詳細な集積部位の判別が困難であったPET単体の装置に対し,詳細な形態学的診断やCTデータを用いた,正確な減弱補正等の各種補正により,診断精度が大幅に向上します。
・呼吸同期システム
当院のPET/CT装置は,Varian社製呼吸同期システムを組み込んでいます。
患者の胸部又は腹部にマーカーを置き,呼吸による動きを寝台下部のカメラでモニタリングすることで呼吸波形を得ます。この波形から呼気停止相のみを用いて画像再構成を行うことにより,呼吸同期画像を得ます。
従来の呼吸同期法は,撮影後に目的部位のみに絞って長時間の追加撮像が必要でしたが,通常の検査に組み込むことが可能で,撮影時間の延長も5分程度です。横隔膜近傍の呼吸性移動の大きい病変に威力を発揮します。
左:呼吸同期有 中:呼吸同期なし 右:融合画像
呼吸同期を用いることで,病変がより鮮明に描出されています。
SPECT/CT検査
当院では,GE社製のSPECT/CT装置(Infinia3HawkEye4)を導入しています。
当院のSPECT/CT装置に搭載されているCTは,吸収補正用低線量CTです。患者の体内から放出されたγ線は体内で減弱するため,正確な体内分布を得るためには吸収補正が有用です。吸収補正には様々な手法がありますが,当院ではCTを用いることで,より精度の高い補正が可能になります。また,低線量CTであるため低画質ですが,集積位置の同定には十分役に立つため,この画像を利用した融合画像の作成も行っています。
副甲状腺シンチグラフィにおけるSPECT/CT画像
脳神経系
1 脳血流統計画像解析
脳血流シンチにおいては,健常データベースとの比較による統計解析(3D-SSP)に加え,3D-SSPによる血流低下部位をよりわかりやすく表示する新たな診断支援ソフトZ-SAMによるデータも提供しており,臨床医の診断をバックアップしています。
3D-SSPに関心領域を設定して,健常者の平均値と比較し,低下部位・程度を表示します。
2 ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DATスキャン)
欧米では以前から使用されていた,パーキンソン症候群及びレビー小体型認知症診断薬イオフルパンが,2014年に日本でも認可されました。当院においてもイオフルパンによるドパミントランスポーターシンチを実施しています。
左:正常例 右:パーキンソン病
・循環器系
1 冠動脈CTとの融合画像処理
当院は最新の3Dワークステーションを備えており,冠動脈CTを撮影されている患者さんであれば,心筋シンチとの3D融合画像を作成しています。融合画像により,虚血の責任血管の同定に威力を発揮します。
心筋血流シンチ画像 冠動脈CTとの融合画像処理した画像
2 その他
上記のほかにも,様々な検査を実施しています。
甲状腺シンチグラフィ(99mTc , 123I , 131I)
ソマトスタチン受容体シンチグラフィ
ドパミントランスポーターシンチグラフィ
異所性胃粘膜(メッケル憩室)シンチグラフィ
消化管出血シンチグラフィ
心筋梗塞シンチグラフィ
心筋脂肪酸代謝シンチグラフィ
心筋交感神経シンチグラフィ
骨シンチグラフィ
腎静態シンチグラフィ
腎動態シンチグラフィ
副甲状腺シンチグラフィ
副腎皮質シンチグラフィ
副腎髄質シンチグラフィ
など
RI内用療法
1 甲状腺アブレーション
甲状腺がん術後の残存甲状腺組織からの再発リスクを低下させるため,放射性ヨードの内服によるアブレーションを行っています。
この治療は,実施に当たっていくつかの要件があり,実施施設は,京都市内では当院も含め3施設のみ(2020年4月現在)です。治療をご希望の方がおられましたら,当院内分泌内科へご紹介ください。
2 去勢抵抗性前立腺がんの骨転移に対する治療(塩化ラジウム Ra-223)
本邦において,2016年3月に「骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん」を適応症として製造販売承認された,塩化ラジウム Ra-223;ゾーフィゴRによる治療を行っています。
2020年4月現在,京都市内の8施設(京都府内で12施設)で実施しています。