全身麻酔の合併症・偶発症

合併症・偶発症のうちのいくつかについて、説明を試みます。

誤えん性肺炎

  全身麻酔は反射を抑制します。このため、麻酔薬の影響下にある患者さんが嘔吐(あるいは胃内容物が逆流)すれば、吐物が気管から肺に入ってしまうことがあります。これは、気管内チューブを気管に入れる前、つまり、麻酔がかかる途中でおこりやすい全身麻酔の合併症です。  これを予防するため、術前はある期間、経口摂取を控えていただきます。それでも、消化管の通過障害のある時、胃・食道などから多量に出血している時などは、胃内容物が空にはなりませんから、麻酔をかける前に鼻から胃にチューブを入れて胃内容物を除いたり、あるいは全身麻酔をかける前に気管にチューブを入れたりします。  このほかこの合併症をきたしやすい方としては、外傷を受けたばかりの方、 妊婦さん、おなかに大きな腫瘍のある方などがあります。  

声帯肉芽腫・反回神経麻痺

 声帯とは、気管の入り口にある膜で、人間はこれを動かすことにより声を出しています。水を飲むとき誤飲がおこらないのは、この声帯が閉じるからです。  全身麻酔では、チューブを声帯を通して気管内まで挿入して人工呼吸します。このため、声帯に多少の傷がつく可能性はあります。こういう傷は、たいていの場合、症状もなく自然に治癒するのですが、この傷が元で声帯肉芽腫が生じる可能性はあります。また、ごく稀に、声帯を動かす反回神経がマヒすることがあります。  その発生頻度は、声帯肉芽腫が500人に1人、麻酔による反回神経マヒは5000人に1人程度です。  

気管支痙攣(喘息発作) 

 吸入麻酔薬の刺激、気管内チューブの刺激、あるいは麻酔薬の作用や麻酔薬に対するアナフィラキシー反応により、 気管支痙攣 、即ち喘息発作を生じる危険性があります。 喘息の持病のある人では、このため、術前は気管拡張剤の投与などにより、最良の状態に持っていくようにします。  これまで喘息の既往がまったく無い方でも、術中に発作をおこすことがあります。  

気胸・縦隔気腫などの呼吸器合併症 

 全身麻酔中の患者さんは、自分で十分に息をすることができないため、手動または器械で人工呼吸をおこないます。  ふだんの呼吸(自発呼吸)は、陰圧で空気を吸い込んでいるのですが、人工呼吸ではそれと同じことはしません。 間歇的陽圧呼吸といい、気道内圧を大気圧よりも高くすることにより、肺をふくらませるのです。このため、気道(気管・気管支・肺胞など)の弱い所が破けて、 縦隔気腫・気胸などを生じる危険性があります。  

悪性高熱症 

 筋小胞体のリアノジン受容体に遺伝的に異常がある人では、麻酔薬により、細胞内の遊離カルシウム濃度が異常に高くなり、このため、 筋硬直高熱が生じます。心停止をきたし、救命できない場合があります。  このような遺伝を持っている人は、2万人から5万人に1人程度ときわめて稀です。血縁に麻酔で異常反応・偶発症をおこした方がないかどうか調べ、万一該当する場合は、なるべく早く、主治医または麻酔科医に御連絡下さい。ダントロレンという筋弛緩薬の予防投与で防止できることがあります。
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