地域がん診療連携拠点病院

 当院は2007年1月28日に「地域がん診療連携拠点病院」に認定され、高度ながん診療を提供するために、認定病院に求められる様々な要件整備とがん診療関連業務の拡充を行い、2010年2月に施設認定が更新されました。                                                                                                                 

1. がん診療業務を支える院内体制

 がん診療はまさにチーム医療の原点であり、「地域がん診療連携拠点病院」としての診療提供機能維持に求められる要件は多岐にわたります。そのため、院内における中心的・統括的組織としての「がん診療連携業務委員会」を設立し、その下部に個々の業務を集約する放射線治療、化学療法、がん相談支援、がん登録の4小委員会を設置しています。                                                                                                                             

2. 外来化学療法センターの現状

 現在、日本においては2人に1人ががんに罹患し、多くの患者がその合併症や治療の副作用と戦っていますが、その一方で治療は大きく進歩し、多くのがん種においてがんと共存しながら仕事を継続し生活の質を維持できる外来治療にシフトしてきています。

●概要

 当院では、2007年1月に地域がん診療連携拠点病院に認定され、外来化学療法センターを設置、これまで消化器内科、呼吸器内科、血液内科、感染症内科、外科、乳腺外科、小児科、婦人科、泌尿器科、整形外科、皮膚科、腎臓内科の計12科について、2012年度は合計月約350件、年間4,070件のがん治療を施行しました。これは開設当時の約7倍となっています。

●スタッフ

 2008年にがん化学療法看護認定看護師が配属され、2010年1月からは専従医が勤務しています。またセンター内薬剤調製室では専任薬剤師が外来患者及び入院患者に対する抗がん剤調製の業務も行っており、2012年度ののべ調製件数は入院症例4,368件、外来症例11,950件です。

●レジメン

 院内のレジメンはすべてがん腫ごとに登録されており、随時エビデンスに基づく更新を行い、現在総数約190です。これらは全て院内で施行している化学療法委員会で検討し承認されたものであり、医師はレジメンフォルダーからしか処方できないシステムになっているため、高い安全性を確保できています。

●がん患者カウンセリング

 2010年10月から初診患者を中心に認定看護師と専従医により施行しています。2012年度は160件でした。カウンセリングの内容としては、治療内容、有害事象の説明、確認と初期クール終了後の有害事象の評価、入院中の投与における問題点、外来化学療法を施行するに当たっての問題点、緩和ケアの必要性評価であり、それらをセルフケア支援、服薬指導、緩和ケアの導入などにつなげるべくチーム医療を根底に活動しています。有害事象については積極的にCTCAEガイドラインにより客観的評価し、誰がいつ見ても同一基準で情報を共有できるように努めています。  また、近年注目を集めている化学療法時のB型肝炎再活性化を防ぐため、スクリーニングを徹底して行い、治療による再活性化が起きないよう肝臓専門医と連携を密に行い安全な実施に努めています。                                                                                                                                                      

3. 放射線治療体制の充実

 2009年にリニアックを導入し、kVビームによる明瞭な画像による骨照合や、透視像での照射目的病巣の描出、コーンビームCTの撮像などにより、最先端の外照射が可能となりました。この高性能リニアックにより、通常照射において腫瘍に対する線量集中性の向上や、正常組織への線量軽減を図るとともに、ハイテク照射である高精度放射線治療も行ってきました。2009年10月からは肺癌や肺転移、肝癌や肝転移に対する体幹部定位照射(いわゆるピンポイント照射)、2010年2月からは脳腫瘍や脳転移に対する脳定位照射、2011年2月からは強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiotherapy : IMRT) を開始しました。また、IMRTの中でも最新鋭治療とされている強度変調回転照射(Volumetric Intensity Modulated Arc Radiotherapy : VMAT)も同時に開始しました。その後、IMRT・VMATの対象を全癌種に拡大し、根治的照射はもとより、予防的照射、緩和的照射にも力を発揮してきました。2013年になり、さらに機能が向上したリニアックを新たに設置し、7月から臨床稼働しています。リニアック2台体制により、一層の放射線治療機能の充実が期待されます。  また、このような最新鋭外部照射治療のみならず、2007年から開始している子宮癌等に対するCTやMRIを併用した画像誘導の高線量率(HDR)腔内照射、2008年から開始した前立腺癌に対するヨード125シード永久挿入術、前立腺癌や子宮頚癌、乳癌術後等に対するHDR組織内照射、多発性骨転移に対するメタストロン治療などの充実した内照射、内用治療を行っています。  当院はこのように充実した外照射、内照射、内用治療を、自在に最適に組み合わせることによって、患者さんに優しいがん治療を目指しており、さらに地域がん診療連携拠点病院として技術・知識・経験の蓄積を行い、地域医療機関との連携をさらに深め、国内有数の総合的包括的放射線治療施設を目指しています。                                                                         

4. がん相談支援業務の現状

 がん診療には、地域の医療機関からがん患者を受け入れ、当院での高度ながん治療を行った後に治療の継続として地域の医療機関に紹介する、いわゆる切れ目のない地域医療連携が重要です。この業務の中心的役割を果たす地域医療連携室では、病院間の転院調整(病病連携)、在宅療養の中心的役割を担う診療所との調整(病診連携)、在宅療養に向けた福祉介護サービス担当者との調整や、患者や家族の精神的・経済的不安に対する療養相談などを行っています。2012年度には延べ768名への相談・支援業務を行いました。また、平成23年9月から、京都府内共通の肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん及び乳がんの地域連携クリティカルパス(地域連携手帳)の運用を開始し、質の高い医療提供と連携を図っています。  年2回定期開催している「京都市立病院地域医療フォーラム」では、1回はがん診療関連テーマを取り上げており、地域の医療施設職員に対する教育・啓発活動を行っています。2013年3月2日には第19回として新館開院に向け、「新館を御紹介します」を開催し、その中でPET-CTの導入、放射線治療や化学療法センターの充実などについて紹介しました。  がん患者と家族の会「みぶなの会」は2009年6月に発足しましたが、2010年10月には回数を月1回から2回に増やして定期開催しています。患者間の情報交換の場所としてのみならず、隔月に食事の工夫、化学療法のケア、緩和ケア、放射線治療のケア、家での簡単な体操などに関する学習会を同時に開催しており参加者から好評を得ています。2012年度は延べ319名が参加しました。また、2010年11月に始まった乳がん患者の会「ビスケットの会」年3回の定例会、月1回の“乳がんサロン”の運営も支援しています。  当院は京都府がん医療戦略推進会議・相談支援部会の事務局として、京都府下のがん診療連携拠点病院・連携病院・推進病院と共に相談支援の均てん化に向けて取り組んでいます。                                                                          

5. がん登録業務の現状

 2006年から診療情報管理室が管理する形式で国立がん研究センターの標準登録様式に則した院内がん登録制度を全診療科に適応し、このデータを基に京都府へのがん登録を行っています。院内がん登録(国立がん研究センターに報告)総数・地域がん登録(京都府に報告)総数は、2007年:773症例・710症例、2008年:940症例・865症例、2009年:1,005症例・887症例、2010年:1,124症例・1,045症例、2011年:1,275症例・1,200症例と年々増加しており、2012年の京都府への登録数は1,113症例でした。これまでの手書き記載方式は、2008年5月の電子カルテ導入により簡素化・自動化され、複数診療科からの重複登録が無くなり、2013年1月からは、ケースファインディングシステムが導入され、より正確で迅速な登録が可能になりました。このような登録制度の充実を受けて、予後調査業務も診療情報管理室が一括して実施しています。2009年から始めた京都市在住の住民票照会による調査を継続的に実施しています。今年度初めて実施された「がん診療連携拠点病院院内がん登録2007年予後情報付集計」にもデータ提供を実施しました。今後もより精度の高い予後調査を目指して住民票照会による予後調査を行う計画です。                                                                           

6. 緩和医療の充実

 当院の緩和ケアチームは2006年4月に設立され、2012年からチームの専従医師と専従看護師も配置されました。これにより、厚生労働省の定めた緩和ケア診療加算の要件を満たす体制がとれました。また、2013年から緩和ケア科が創設され、がん診療初期からの緩和ケアの提供、迅速な症状緩和に取り組んでいます。  現在、緩和ケアチームは緩和ケア科医師、麻酔科医師、精神科医師、薬剤師、看護師2名(がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師)、リハビリ、心理士、栄養士、MSWから構成されています。週2回、チームで病棟回診を行い、癌性疼痛、嘔気・嘔吐などの消化器症状、せん妄などの精神症状に対応する他、栄養科と連携し、食欲低下や味覚異常をきたした患者に対して提供する食事に工夫を加えたり、免疫低下や抗がん剤による口腔トラブルに対して、歯科衛生士による口腔ケアを行うなど、患者の生活の質の向上のための取り組みも行っています。さらに、地域医療連携室とも連携を取り、切れ目なく在宅医療につなげる活動も行っています。  また、地域がん診療拠点病院として、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」を2008年度から毎年一回実施し、病院内外からの受講募集を行い、緩和医療の教育啓発の役割にも力を入れています。  さらに、今後の課題として、地域での在宅医療との連携の強化、院内での緩和医療のさらなる啓蒙に取り組む予定です。                                                                      

7. がん専門メディカルスタッフの育成と認定資格修得に向けて

 看護部では、“がん患者さんと家族に届くケアの質を最大限にする”ために、2013年現在、7名の専門・認定看護師がそれぞれ緩和ケアチーム、外来・病棟で活動しています。  がん看護専門看護師は、緩和ケアチームの活動を通して組織を横断し、直接患者ケアを提供する医療スタッフを様々な側面から支援したり、がん告知を受けた後の患者と家族の思いに寄り添い、患者を中心とした意志決定支援を実施しています。認定看護師は、がん化学療法看護・がん放射線療法看護・乳がん看護・緩和ケアの分野が、それぞれ手術療法、化学療法、放射線療法を受けるがん患者の療法支援を行いながら、患者の不安と苦痛に向き合い、最後まで患者が治療に取り組むことができるように専門性の高いケアを実践しています。このような実践を基盤として、患者ひとりひとりが最後の時まで自分らしく生きることができるよう早期から緩和ケアを推進するために、医療チームの中心となり活動しています。また、がん看護教育においては、エビデンスに基づく看護実践(Evidence Based Nursing)を全ての看護師が実践できるように、病棟単位、全体研修での企画および運営を実施しています。  放射線治療体制の充実には、放射線治療の専門知識・技術を持った医学物理士・放射線治療品質管理士・放射線治療専門技師の配置・育成が必須であり、現在当院には3名の認定医学物理士が常勤しており、日常診療に当たるとともに、次世代の医学物理士育成にも当たっています。  薬剤科ではがん指導薬剤師1名、がん専門薬剤師1名、がん薬物療法認定薬剤師2名が、がん診療に関するチーム医療に従事して専門性を発揮しています。                                                                           

8. がん症例検討の現状と課題

 がん診療は、患者さんが来院して診断や治療を受け、退院して外来通院に至るまで、医師のみならず臨床病理検査技師、放射線科技師、看護師、薬剤師、理学療法士などの多職種がかかわっていくチーム医療の原点です。  当院ではがん診療連携拠点病院の指定を期に、これまでの当該診療科医師だけで行っていた症例検討を改め、多職種が参加するカンファレンス、いわゆるCancer Board Meetingを目指してきました。しかし、すべてのがん症例を多職種で検討するという本来の機能が十分に備わっていないのが現状であり、機能の充実が今後の課題です。現在、消化器、呼吸器、泌尿器、肝臓、乳腺、血液の各領域で複数診療科と職種によるがん症例の検討会が行われています。2012年度の開催実績(開催回数;検討症例数)は、消化器:88回;146症例、呼吸器:48回;396症例、肝臓:24回;59症例、乳腺:39回;106症例、造血幹細胞移植合同カンファレンス10回;34症例などでした。
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