専門・認定看護師
高度化・専門分化が進む医療現場において
看護ケアの広がりへの対応と看護の質向上を目的に、専門・認定看護師を配置しています。
専門・認定看護師は、各領域における看護実践はもとより、スタッフのスキルアップのための教育を行っています。
母性看護 | 1名 | 皮膚・排泄ケア | 1名 |
老人看護 | 1名 | 新生児集中ケア | 1名 |
がん化学療法看護 | 3名 | 脳卒中リハビリテーション看護 | 1名 |
がん放射線療法看護 | 2名 | 糖尿病看護 | 1名 |
緩和ケア | 1名 | 透析看護 | 1名 |
乳がん看護 | 1名 | 認知症看護 | 3名 |
感染管理 | 2名 | 手術看護 | 1名 |
摂食・嚥下障害看護 | 2名 |
母性看護専門看護師
前田 一枝
当院は、京都府下の産科2次救急施設として、母体搬送を含め他の病院や医院より紹介された合併症管理をもつ妊産婦の方の周産期管理を担っています。産科的なリスクがない方もハイリスクの方も、妊娠中から産後まで安心かつ心身共に健やかに過ごし、新しい家族を迎えることができるように支援しています。
母性看護専門看護師として、他の医療機関や保健センター、児童相談所など、地域とも顔の見える関係性を作ることで、妊産婦さんと赤ちゃんやその家族一人一人に必要なケアが行き届くことを目指して取り組んでいます。さらに、DVや虐待に対応する虐待対策チームと臨床倫理に取り組む倫理コンサルテーションチームの一員として院内外で活動しています。
老人看護専門看護師
大田 恵子
高齢者は入院することで老年症候群の出現や生活機能が低下することがあります。入院しても、入院前と同じような生活を送ることができ、少しでも心地よく生活することができれば、老年症候群の出現や生活機能の低下も予防できると考えます。
患者様のそばにいる時間が長い看護師だからこそ、予防ケアに介入できると考えています。看護師も一緒に楽しみながら、急性期病院の高齢者看護実践を高めていきたいと考えています。
がん化学療法看護認定看護師
乾 和江 ・ 本田 薫 ・ 大柿 深雪
がん治療の進歩により、内視鏡手術や放射線治療、がん薬物療法も、外来で実施することが増えています。がん化学療法看護認定看護師は、病棟や外来で、患者さんが安全・確実に、そして安心して治療を受けることができるよう支援しています。
患者さんはがん薬物療法を受けることで、これまで通りの生活を続けることができ、がんの症状を和らげることができる一方、治療に伴う副作用が出現するため、副作用症状を理解し、その対処方法を知って対応していかなくてはなりません。具体的な対処方法は、患者さんの受ける治療や症状の状態、生活状況によって変わってきます。私たち看護師は、患者さんと一緒に、実現可能なケアの方法をひとりひとりに合わせて考え、患者さん・ご家族が安心して治療を受けることができるようにサポートを行なっていきます。
当院では、がん化学療法看護認定看護師は3名となり、2022年現在、外来化学療法センター、女性病棟、血液内科病棟に勤務しています。私たちの取り組みをご紹介します。
☆外来化学療法センター、血液内科病棟
外来化学療法センターと血液内科疾患の患者さんをケアする病棟がワンセクションとなっています。
外来化学療法を受ける患者さんは年々増加し合併症を持った高齢の患者さんの割合も増えています。早期から必要なケア介入が行えるよう、2021年度から外来化学療法センターで治療を受ける70歳以上の患者さん全員に、G8(Geriatric-8)を用いた高齢者機能評価を実施しています。2022年度は4月から9月の半年間で、評価結果をもとに約50名の患者さんに医師・看護師・薬剤師・MSWによる多職種カンファレンスを行いました。化学療法を受ける患者さんに必要な栄養指導や在宅調整などの支援が外来でも継続できるように取り組んでいます。今後は、血液内科病棟の患者さんも対象として多職種連携による患者さんの支援を行っていきます。
☆女性病棟
今年度は病棟再編成があったため、OJT(On the Job Training)でのスタッフ教育や学習会の実施、必要な資材の作成に力を入れています。また、AYA(Adolescent and Young Adult)世代や困難症例など、外来での診察同席や意思決定支援を実施し、関連職種や病棟との連携を強化していきます。
☆院内スタッフへの教育支援
当院ではIVナース制度があり、3年目以上のスタッフが専門的な知識を得て抗がん剤投与を実施しています。毎年対象となるスタッフに向けて、がん薬物療法のケア、特に投与時のアセスメントとケア、急性の有害事象へのケアについての研修を実施しています。
また、院内のがん関連の専門看護師や認定看護師と協働し、院内がん看護研修の企画・運営を行なっています。9月に実施したELNEC-J研修では、院内外のスタッフを対象としがん看護実践能力の向上を目標に、2日間一緒に学びました。
☆曝露対策の実施
抗がん剤投与時は、全ての抗がん剤で閉鎖式ルートを使用し、抗がん剤による曝露を最小限にする取り組みを行なっています。今年度は近隣の病院と合同で課題共有を行い、当院での曝露対策についてあらためて評価を実施しました。結果をもとに、まずは外来化学療法センターでの環境調査を実施する予定です。
がん放射線療法看護認定看護師
杦岡 かおる
放射線療法を受ける患者さんとそのご家族が安心できるように診察に同席し、治療を決定するタイミングでサポートしています。治療開始後も治療そのものや副作用に伴う生活上の工夫について、必要な情報を提供し支援しています。患者さん自身が、治療に伴う有害事象のケアに主体的に取り組むことで、有害事象の悪化を予防または軽減させ、治療を完遂することができます。
また、がん患者さんの就労支援として照射時間枠を延長し、治療を行っています。就労と治療の両立支援にも力を入れています。
2022年より放射線療法看護外来を開設し、放射線治療開始前から治療終了後まで、患者さんとその家族の放射線療法に関する困りごとを解決できるように努めています。
中川 紀直
2020年からがん放射線療法看護認定看護師として、がん看護に携わっています。放射線療法を受ける患者さんは様々な問題を抱え治療を受けておられます。安心して治療が完遂できるように、予測をしたケアを行いサポートしています。
また、治療が終了してからも今後出現する可能性がある晩期有害事象についても多職種で支援しています。
緩和ケア認定看護師
吉田 克江
緩和ケアは終末期になってからだけ受けるケアではなく、がんと診断を受けた時から受けるケアです。また最近では、がんだけでなく、心不全や神経難病など良性の疾患に対する緩和ケアも普及しつつあります。患者さんだけでなくご家族もケアの対象です。患者さんのその人らしさを大切に症状緩和だけでなく、どこでどのように治療を受け、過ごすのか相談し、患者さん・ご家族を多職種とともに支えられるよう日々活動しています。
今年度は院内外の看護師のエンド・オブ・ライフケアの質の向上を目指して当院で開催したELNEC-Jの講師も初めて担当しました。
東 由加里
現在、緩和ケアチームとして以下の活動を行っています。
①緩和ケア外来で医師と共に症状緩和や不安などの心のケア、家族ケアを実施
②一般病棟で治療中のがん患者さんに対して緩和ケアチームとして多職種でサポート。
③外来や一般病棟から緩和ケア病棟へつなぐ役割
主にがん患者さんとご家族を対象に、病からくる疼痛や呼吸困難、倦怠感、吐き気、便秘等の症状緩和、不安、気がかりなこと、日常生活で困っていることなどお聞きしています。
多くの患者さんは痛みなどの身体症状だけでなく、心配事や様々な不安を抱えて生活をしておられます。丁寧にお話を聴き、今の患者さんの生活、これまでの生き方や大切にしてきたこと、そしてこれからの過ごし方を含めてその人らしい生活を支えるケアを提供しています。
乳がん看護認定看護師
荻野 葉子
日本では、女性のがん罹患率1位は乳がんです。9人に1人が乳がんになるといわれています。
乳がん患者さんとご家族を、告知や治療選択時などから精神的に支え、患者さんが納得いく選択ができるように支援していきます。また、治療の合併症や副作用、症状に対してセルフケアが行えるようにサポートしています。乳がん手術後のリンパ浮腫予防や、リンパ浮腫を発症してからのケアについても専門の医師と協力しています。
また、乳がん患者会“ビスケットの会”にも一緒に参加し、患者さんとの交流の機会を作り、悩みや不安の表出の場、情報共有の場として活用してもらっています。
感染管理認定看護師
村上 あおい
当院は、明治時代の公立避病院から続く長い歴史の感染症診療を行っています。また、第二種感染症指定医療機関としての役割を担い、地域に根付く感染症診療を目標にICT・ASTが中心に活動しています。
特に、ICTは医師、薬剤師、看護師、検査技師、臨床工学士、放射線技師、栄養士、リハビリテーション科セラピスト、清掃担当事務員の多職種で構成するメンバーで活動しています。職種が違うと気づきや考え方も多様で、そこから得られる事は多くあります。日頃の業務を相互に理解することで、職種に合わせた感染対策の相談や指導がより現状に沿った内容で実施できます。
また、3年以上続いたCOVID-19対応では、周辺の医療施設や高齢者介護施設、障害者施設へ出向き、感染対策の啓発や危機管理計画、BCP実行の支援に関わってきました。この活動から、京都府下の認定看護師や実践看護師との連携・協同を密に行うことができ、自身のスキルアップにもつながる貴重な経験と、施設を超えて地域を支える重要性を再認識しました。
- ”HIV感染症看護師”として
当院は、エイズ治療拠点病院としてHIV陽性患者さんの治療と生活を支える役割を担っています。HIV陽性患者さんの治療が負担なく継続され、生きたい場所で生活が維持できるよう支援しています。また、HIV感染症に関わる啓発活動について、地域や高齢者介護施設、教育機関などへも活動の場を広げようと考えています。
外来においては、紹介患者さんを中心に初診時面談を行い、不安や病気の理解と周囲のサポート状況を聞き取り、継続した外来看護を実践します。
水野 幸子
2021年度より、病棟配属の兼任認定看護師として、日々現場での感染対策に勤しんでいます。世間ではWithコロナ、Afterコロナなどという言葉をよく耳にするようになりましたが、現場ではまだまだ気の抜けない日々が続いています。
実際の現場勤務であることを活かし、手指衛生遵守率向上をはじめ、第二種感染症指定医療機関としてやるべき対策や教育を検討していきたいと考えています。
今後も、患者さんの声や反応を大切にして、多職種スタッフを含めた現場スタッフの声をしっかりと聞きながら、感染対策を実施する上での役割モデルとして問題解決に向けて取り組んでいきたいです。
摂食・嚥下障害看護認定看護師
長谷川 優子
「食べる楽しみを支える」「安全に食べることを支える」を目指しています。
超高齢化社会では入院中だけでなく、退院後の生活の場につなげていくことが必要とされており、受け持ちナース・NSTリンクナース、多職種と連携しています。
病院内でできるベストと、生活の場で長く継続できるベターとを患者さんや介護をされるご家族・地域の医療関係者・事業所の方々と一緒に考えています。そのためにも、今後自宅や施設への退院前訪問や退院後訪問の機会も増やしていきたいと考えています。
また、栄養手段の意思決定支援にも力を入れ多職種と協働しています。
院内のリソースを十分に活用し、認知症看護、がん放射線療法看護、皮膚・排泄ケアなど他分野の認定看護師、専門看護師とも連携を深め、広い視野で患者さんの【食べる】を支援できるよう心がけています。
森 茂子
2017年からNSTラウンドのメンバーの一員として、2021年から摂食嚥下障害看護認定看護師として活動しています。
摂食嚥下障害のある患者さんの「食べる」を擁護し、患者さんやご家族の意思決定を尊重できるように心がけています。
他の専門職と協働して安全に食べれるための支援をして、地域に戻り、安心して生活できるように支援していきたいと思っています。
皮膚・排泄ケア認定看護師
白岩 喜美代
皮膚・排泄ケア分野の専門は、創傷ケア・ストーマ(人工肛門 )ケア・失禁ケアで、病院内を横断的に活動しています。
- 創傷ケア: 専従褥瘡管理者として、褥瘡予防対策や褥瘡廻診を担当しています。また、それ以外の創傷ケアやスキンケア相談にも対応しています。当院に入院される褥瘡予防対策が必要な患者さんは、年間5000人を超えます。その方々が、褥瘡発生なく入院生活を送り退院できるように、また、褥瘡を持って入院された方は症状が改善するように、各部署のスタッフと協力しています。
- ストーマケア: 当院では年間60件前後のストーマ造設手術が行われています。看護専門外来(ストーマ外来)では、手術が決定した患者さんや家族に対して、ストーマ模型を使用した説明を行ったり、ストーマケアの体験をしたりして、手術前に具体的なイメージが持てるように支援しています。退院後の外来では、退院後の自己管理の経過を確認したり、相談を受けたりしています。また、訪問看護師と連携をとったり相談を受けたりしながら、在宅でのケア方法を検討しています。
◆毎月リンクナース会を開催しています
当院では、各部署に褥瘡対策リンクナース1名と褥瘡対策専任看護師1~3名を配置しています。褥瘡対策リンクナースを対象に毎月リンクナース会を開催し、褥瘡対策に関する情報共有や困っている事の解決方法などを検討しています。11月のリンクナース会では、“踵部にフィルムドレッシングが上手く貼付できない”という悩み相談があり、実際に貼る方法を皆で練習しました。その方法で上手く貼れるようになったという嬉しい報告が後日ありました。2月のリンクナース会では、今年度の取組み成果を発表しあう予定です。
新生児集中ケア認定看護師
市田 育子
地域母子医療センターとしてハイリスク妊産婦・新生児を受け入れています。急性期にあるハイリスク新生児の治療・発達促進に向けてケアしています。また、当院NICUは半個室化となっており『家族の始まりを支える看護』を目標に、カンガルーケアなどの愛着形成支援や母乳育児支援に力を入れています。NICU看護は入職してからの学習が多く、PNSでのサポートに加えて、2020年度より新生児看護研修を開始し安心して働ける環境調整もしています。NCPR・Sコースも定期的に開催しシミュレーション教育にも取り組んでいます。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
的野 早苗
脳卒中とは突然発症する疾患で、後遺症を残すことも多く寝たきりになる原因で第1位の疾患です。軽症の脳卒中の患者さんは、できるだけ早く自宅退院し社会復帰でき、麻痺など発症された患者さんは、早期離床に努め回復期リハビリテーション病院へ繋げることを目標にケアしています。
また、脳卒中の範囲と程度によりますが、発症後すぐに治療をすれば後遺症を残さずに社会復帰が可能となります。突然発症する脳卒中の症状を知ってもらい、異常があれば早急に救急車で来院すること、また発症リスクを軽減するための生活習慣の改善について、地域で暮らす人々に向けた啓発活動を行っています。
糖尿病看護
山内 光子
2019年1月31日(木)訪問看護ステーションアドナースの皆さんとフットケアの勉強会を行いました。当院を通院している患者さまが、生活の場でも安心して足のケアを受けられる環境づくりを行っていきたいと考えております。勉強会では、アドナースの皆さんと症例検討をしたり、爪切りやシャボンラッピングの方法を実演したりしました。
透析看護認定看護師
竹下 紀子
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能が低下する病気です。原因は様々ですが、腎臓自体が病気になる場合や、糖尿病や高血圧などの生活習慣病による場合などがあります。
このような慢性腎臓病の患者さんが、当院で安心して治療をうけられるよう腎臓病のステージに合わせて専門的なケアを実践しています。
《腎不全早期の取り組み》
病気の進行を遅らせ透析導入を予防するため、定期的に腎臓病教室を開催しています。
《腎不全が進行した患者さんへの支援》
当院では療法選択外来という看護外来を実施しています。腎代替療法が必要になる前に、患者さんの病状や生活に合った治療法を一緒に考える外来です。
《透析治療中の患者さんへの支援》
安全で効率のよい血液透析治療が受けられることを目標に支援しています。
腹膜透析治療を受けられる患者さんを対象にした腹膜透析外来では、透析手技の獲得や栄養指導、日常生活を一緒に考えてQOLの維持に努めています。
慢性腎臓病は完治することは難しいかもしれませんが、病気を抱えながらもその人らしく生活できるよう支援しています。
認知症看護認定看護師
坂口 かおり
超高齢化社会である現在、当院にも急性期医療を必要とする認知症の方が多く入院されます。認知症は脳の病気で脳の機能が低下することにより、過去のことを思い出せなかったり、最近の出来事を覚えられなかったりします。このほか、時間や場所、人間関係などを把握する能力(見当識)も低下するため、入院という環境の変化に適応するのが大変な方も多いです。
認知症看護認定看護師として、上手に伝えることのできない認知症の方の抱える不安やストレスに対応し、患者の尊厳に配慮した看護ができるよう、日々奮闘しています。
当院には、多職種で構成された認知症ケアチームがあり、認知機能の低下した方が必要な治療を安心して受けられるよう、患者様の精神症状が落ち着いて過ごせる為の活動を行っています。
★ 地域との連携
当院の受診をきっかけに認知機能低下が明らかになった方が、今の生活を継続または、よりよくできるように地域と連携して介入をしていきます。
また、市民の方への健康教室も行っていますので、ご依頼ください。
★高齢者サポートケアチームでは不定期で「はっぴ~シニア」を発行しています。ただいま第6弾まで発行中。(2月現在) 認知症に限らず、高齢者の生活にヒントとなる内容を記載していますので、興味のある方はご連絡ください。
北川 陽子
認知症サポートチームの一員としてカンファレンスや院内ラウンドを行っています。チームには看護師だけでなく医師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、栄養士がおり、認知機能が低下していても安心して急性期治療が受けられるよう活動しています。
私自身は脳神経外科、神経内科の病棟で勤務し、脳血管疾患によって認知機能が低下してしまっても、その時々のニーズをキャッチし患者さんが安心・安全にリハビリや検査、治療ができるよう日々スタッフとともにケアの検討・実践を行っています。
認知症であっても安心して入院して頂けるよう、目の前の患者さんに寄り添い、日々活動していきたいと思います。
阪野 真弓子
手術看護認定看護師
堤 佳代子
当院では、日帰り手術から難易度の高い手術、手術支援ロボット(da Vinci)による低侵襲手術まで、幅広い手術を積極的に行っています。しかし、手術を受ける患者さんは高齢化が進み、認知機能の低下や複数の疾患を抱えておられるなど、ハイリスクな患者さんが増加しています。その中で、在院日数の短縮化に伴い手術前日の入院が多くなっているため、術前からの十分な情報収集と多職種が連携し身体的・社会的・精神的側面からアセスメントを行い、退院後を見据えた関りが重要となっています。しかし、術前に様々な準備を整え、安全に手術を受けて頂いたとしても、「術後疼痛」は患者さんにとって大きな問題です。術後疼痛は、術後せん妄のリスクとなり、術後せん妄は早期離床を妨げます。
そして術後疼痛によって離床が妨げられると食欲が低下し、消化機能が回復しないなど悪循環に陥ります。そのため、疼痛管理を軸とした術後管理が重要となるため、当院では、PCAポンプ装着患者に対して、手術翌日に多職種(麻酔科医・手術センター看護師・薬剤師・管理栄養士)によるAPS(Acute pain service)チーム回診を行い、疼痛の評価と薬剤調整を行っています。今後は、APSチーム回診の対象範囲の拡大を検討しています。
患者さん・ご家族が「手術を受ける」と意志決定された時から、無事に手術を終えられ術後回復されるまでの一連の過程を多職種と連携することで、患者さんが1日でも早く入院前のもとの生活に戻って頂けるように、安全で安心な周術期看護の提供を目指して、日々取り組んでいます。