よくあるご質問(患者さまへ)

Q.乳がんと診断されて不安でたまりません。

  乳がんと告知されれば,どなたも不安な気持ちになります。寿命のこと,将来のこと,家族のことなど様々な不安が一度に湧き上がると思います。まず貴方の不安な気持ちを担当医に相談してください。そして病状のこと,治療のこと,今後のリスクなどに関する不安は,十分に説明を受け,現状を冷静に受け止めることで軽減できるでしょう。医療スタッフ,ご家族,患者会の方々に相談するのも良いでしょう。不安な気持ちになるのは,あなただけではありません。一人で悩まないでどうぞ御相談ください。

Q.乳がんの治療はどのように進めますか?

  サブタイプ,進行度(遠隔転移の有無など),年齢,閉経の有無などいろいろな要素を総合的に判断して,ひとりひとりの治療方針を決定します。
治療には,手術,薬物療法(ホルモン療法,化学療法,分子標的治療),放射線治療があります(治療の項目をご参照ください)。治療の種類,順序などはひとりひとりの病状,希望などにより異なります。
 例えば55歳の閉経後の方で右乳房に1cmの腫瘍があり,進行度はStageⅠ(リンパ節転移も遠隔転移も無し)でルミナル(Luminal)Aタイプであったとします。このタイプはホルモン療法の効果が高く化学療法の必要性はあまりありません。また分子標的治療(ハーセプチン)は必要ありません。従って先に右乳房部分切除とセンチネルリンパ節生検の手術を行い,術後に温存乳房の放射線治療とホルモン療法を行うことになります。

Q.乳がんにはどんなタイプがありますか?

  乳がんには,病理学的な分類や遺伝子検査による分類(遺伝子プロファイリング)があります。病理学的な分類は,以前からある顕微鏡による形態での分類(組織分類)があります。近年,腫瘍の遺伝子発現による分類が行われサブタイプ分類と言われます。ルミナルA,ルミナルB,ルミナルHER2,HER2,トリプルネガティブなどの分類が行われます。しかし全ての患者さんにこの検査を行うことは大変なので(保険もきかないので),免疫組織染色(腫瘍組織を抗エストロゲン抗体,抗プロゲステロン抗体,抗HER2抗体などで染めて顕微鏡検査を行う)を行い,遺伝子検査の代用とすることでサブタイプ分類を模して分類することが実際の臨床では行われています。サブタイプ分類は治療方針の決定に大変重要です。当院では治療前の全ての方にこの分類を行い治療方針を決定しています。

Q.乳がんになったら妊娠は諦めるべきですか?

  閉経前の方で乳がんの化学療法,ホルモン療法の終了後に妊娠・出産をされる方は,おられます。乳がんになったから妊娠が不可能というわけではありません。治療前に,今後の妊娠・出産についてのご希望を詳しく伺い,個々の患者さんについて妊孕性(妊娠する力)が保てるよう産婦人科の先生とも協力し方針を検討します。

Q.温存か全摘かはどのように決まりますか?

  切除術式を決定する因子としては,①腫瘍の大きさや広がり②腫瘍が単発か多発か③温存した場合に,術後の放射線治療が可能かどうか,などがあります。温存療法の適応が除外されるものには下記のものが挙げられます。
 1.2個以上のがんがあり異なる乳腺腺葉領域に存在する。
 2.広い範囲にわたり乳がんの進展が認められる(主にマンモグラフィーで広い範囲に微細石灰化が広がっている場合)
 3.温存乳房への放射線療法が行えない(活動性のSLE,強皮症などの膠原病がある)
 4.腫瘍径と乳房の大きさのバランスから温存乳房の形態があまり良くないと想定される。
 5.患者さまが乳房温存療法(乳房部分切除術+温存乳房の放射線治療)を希望しない。

Q.治療後の生活で気をつけた方がいいことはありますか?

  乳がんの治療は,手術,化学療法,分子標的治療,ホルモン療法,放射線治療などいろいろなものがあります。また治療の期間もホルモン療法では,10年に及ぶこともあります。副作用に注意し,気になることがあれば担当医に早めに相談しましょう。副作用を抑えたり,できるだけ再発のリスクが低くなるよう適度の運動や食事の注意も必要です。太りすぎないように注意することも大切です。再発に対する不安やストレスなどもありますが,過度に思い詰めないようにすることも大切です。
  不安や落ち込んだ気持ちが続くようなら担当医,看護師にご相談ください,

Q.どんな治療薬が処方されますか?

  治療には,術前や術後治療,さらに再発時の治療があります。
  乳がんで使用される薬は多くの種類があります。化学療法(いわゆる抗がん剤)としては,点滴で投与される薬と内服の薬があります。点滴で使用される薬には,ファルモルビシン,5FU,エンドキサン,ドセタキセル,パクリタキセル,ハラヴェン,ゲムシタビン,ビノレルビンなどがあり,単剤や複数の組み合わせで使用されます。内服では,ユーエフティ,ティーエスワン,ゼローダなどがあります。
  ホルモン療法には,アロマターゼ阻害薬(アリミデックス,アロマシン,フェマーラなど内服薬),選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM:ノルバデックス,タスオミン,フェアストンなど内服薬)選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD:フェソロデックスの注射薬),LH-RHアゴニスト(ゾラデックス,リュープリンなど注射薬)などがあります。抗体治療薬には抗HER2療法薬(トラスツズマブ,ペルツヅマブ),抗VEGF抗体薬(ベバシズマブ)やカドサイラ(トルスツズマブと抗がん剤であるDM1の複合体),抗RANKL抗体(デノスマブ)があります。小分子化合物としてはHER1・2チロシンキナーゼ阻害薬(ラパチニブ),mTOR阻害薬(アフィニトール)があります。一人一人の患者様への適応を検討した上で投与を行いますが,投与前に効果,副作用について十分に説明させて頂きます。また薬剤師からも服薬についてのご説明させて頂きます。

主なホルモン剤

薬剤名(一般名)

主な商品名

適応

投与法

リュープロリン

リュープリンなど

閉経前

皮下

ゴセレリン

ゾラデックスなど

閉経前

皮下

タモキシフェン

ノルバテックスなど

閉経前後

経口

メドロキシプロゲステロン

ヒスロンHなど

閉経前後

経口

トレミフェン

フェアストンなど

閉経後

経口

アナストロゾール

アリミデックスなど

閉経後

経口

エキセメスタン

アロマシンなど

閉経後

経口

レトロゾール

フェマーラなど

閉経後

経口

フルベストラント

フェソロデックス

閉経後

筋注

 

主な抗がん剤

薬剤名(一般名)

主な商品名

投与法

テガフール・ウラシル

ユーエフティなど

経口

カペシタビン

ゼローダなど

経口

テガフール・ギメラシル・オテラシル

ティーエスワンなど

経口

ゲムシタビン

ジェムザールなど

点滴

メトトレキサート

メソトレキセートなど

経口

ビノレルビン

ナベルビン,ロゼウスなど

点滴

ドセタキセル

タキソテールなど

点滴

パクリタキセル

タキソール,パクリタキセルなど

点滴

ナブパクリタキセル

アブラキサンなど

点滴

カルボプラチン

パラプラチンなど

点滴

イリノテカン

カンプト,トポテシンなど

点滴

エリブリン

ハラヴェンなど

点滴

主な分子標的薬

薬剤名(一般名)

主な商品名

投与法

トラスツズマブ

ハーセプチン

点滴

ペルツズマブ

パージェタ

点滴

ベバシズマブ

アバスチン

点滴

ラパチニブ

タイケルブ

経口

エベロリムス

アフィニトール

経口

T-DM1

カドサイラ

点滴

Q.治療薬によっては閉経が早まりますか?

  閉経前の患者さまに対して化学療法を行った場合に治療が終了しても生理が再開しないことがあります。これを化学閉経と呼びます。またLH−RH阻害薬によるホルモン療法でも生理を止めますが,治療終了後に生理が再開しないことがあります。
個々の患者さまの状態,年齢により閉経の発症率は異なります。

Q.抗がん剤では必ず髪が抜けますか?

  使用する薬剤によって脱毛の発症率は異なりますが,多くの抗がん剤では脱毛が起こります。脱毛が起こりにくいものとしては,ビノレルビンなどがあります。
化学療法が終了すれば,毛髪はまた生えてきます。治療薬の選択においては治療効果も含め担当医とよくご相談ください。

Q.ホルモン療法のつらさを和らげる方法はありますか?

  ホルモン療法の副作用として,ホットフラッシュ(ほてり,のぼせ)や生殖器の症状,関節,骨,筋肉などの症状が出ることがあります。適度の定期的な運動により症状が緩和されたり,漢方薬や抗うつ薬などが有効であることもありますが使用に関しては担当医とご相談ください。また骨密度の低下や骨折の予防が必要なこともあります。気分の落ち込み,イライラ感などに対しては心理カウンセリングの効果も期待できます。


Q.副作用か,更年期か,危険な病気の兆候かはどう見極めればいいですか?

  判断は難しいと思います。個々の症状について詳しく外来でご相談ください。

Q.治療中,他の薬を飲んでもいいですか?

  他の薬によって,双方の薬の効果の減弱や増強の可能性があります。他の薬を投与,内服される場合は担当医にご相談ください。その際にお薬手帳を持参して頂ければ有難いです。

Q.再発したらどのような治療がありますか?

  不幸にして再発した場合,薬物療法,放射線治療,手術などを行いますが,個々の患者さまによって治療方法は異なります。
  ホルモン受容体が陽性の方で生命に差し迫った危険がない場合は,種々のホルモン療法を行い治療効果があれば出来るだけ継続します。ホルモン療法の効果がなくなった場合にはアフィニトールとホルモン療法の併用療法や化学療法への移行を検討します。また生命に差し迫った危険があるような場合にも化学療法への移行を検討します。
  ホルモン受容体が陰性の方は,初めから化学療法を行うことになります。化学療法にも内服薬や点滴の薬があります。病状,治療効果,副作用などをよく検討し効果が続く限り出来るだけ治療を継続します。またアバスチンなどの分子標的治療,HER2が陽性の場合は抗HER2療法としてハーセプチン,パージェタ,カドサイラ,タイケルブなどの投与が行われます。
  骨転移に関しては,適応例にはゾメタ®,ランマーク®などの骨修飾薬を投与します。骨転移,脳転移,局所再発,肝転移などに対しては詳細な検討のもと放射線治療も行うことがあります。乳房内の再発や局所の再発などでは手術で病変を切除することもあります。

Q.乳がんに完治はないのですか?

  乳がんの治療成績は良いと言われています。乳がんになっても治療によって治癒される方は多くおられます。初めから遠隔転移のある方や,再発転移の場合は,残念ながら完治される方は少ないのが現状ですが,全く0ではありません。再発の場合でも,前向きに治療を行うことが大切です。

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